初夏の京都歩き。

一昨日、いい天気だったし、夕方用事もあったので、
朝から京都に出かけた。

もう日傘の似合う、初夏の日差し。
まず向かったのは、粟田口の並河靖之七宝記念館
並河さんのちょっと信じられないような完成度の高い
七宝も楽しみだったし、実際素晴らしかったのだが、
それは、撮影禁止。
色鮮やかな七宝も息を呑むほどでしたが、
ワシが気に入ったのは、青で統一された近江七景の皿。
「これは勿体無くて、料理乗せられんなあ」とは思うけど、
複製でええから持って帰りたい、思う美しさでございました。

そして、ここはワシの好きな作庭家、七代目小川治兵衛の初期のお庭のある場所でもあります。
琵琶湖疏水の水を利用した初めてのお庭らしく、
こじんまりとした屋敷庭園ながら、
奥行きの出し方とか、綿密に計算されたええ庭でした。

こういうとこの過ごし方って、どうすればええんでしょうね。
ほんまは、横になって本でも読むのが、
一番正しい気もするんですが、それが許されるはずもなく、
結局、ただボ〜〜っと過ごしてしまうんですが、
それはそれで、めっちゃ好きな時間なんですが、
何か「あ〜ワシ、今、めっちゃ勿体無いことしてるんちゃうやろか」
という気になってしまいます。

この記念館、並河靖之さんの住居だったものらしく、
展示室の隣には、京都の町屋らしい、高い天井の美しい台所もあって、
そこも見学できます。
絶対使いこなせないやろうから、
住みたいとは思わんけど、
今度生まれ変わったら、こんな家が似合う、
ダンチューな男になりたいなあ、
とかちょっと思う。
まあ一瞬のことなんですが。

記念館出て、すぐ向かいの瀟洒な洋館見ると、
表札に「並河」の文字。
ご子孫が、ちゃんとここに住んではるんかな。
この地域、愛してはるんやろなあ。

この並河靖之七宝記念館、ワシが一番好きな庭かもしれん、
七代目小川治兵衛の最高傑作とも言われる無鄰菴からも歩ける距離です。
しかも、白川沿いのええ道でつながってます。
小川治兵衛ファンの方、是非無鄰菴と一緒にご訪問ください。

そろそろ昼飯時やな、そや!ここは天ぷらの「京とみ」がすぐ近くや、
と行ってみますと、あれまあ臨時休業。
となりの有名な蕎麦屋「三味洪庵 本店」は、当たり前かの長蛇の列。
平日やのに、観光客の戻った京都はあなどれんわ。
もう歩く気が失せてしまってたので、
すぐ近くにあった初音鮨に飛び込む。

美味しかったっす!
写真撮り忘れたけど、いなり寿司も頂きました。
それも、美味かったんやけど、
後で調べると、ここは鯖寿司が美味しいらしい。
ああ、やっぱり京都は押し寿司やなあ、とちょっと後悔。
次の機会あれば、鯖寿司やな、と思いつつ、
きっと、京とみや、三味洪庵、優先しちゃうやろな、と思うと、
さらに後悔してしまうのでありました。

まあ、こんだけ昼飯のことで悩めるのも、ええことやな。
次の目的地に向かいましょう。
最寄りのバス停に行くのは、さっきゆーてた白川沿いの道。
ああ、水の流れが、なんか夏!
ちょっと汗もかいたし、飛び込んだら気持ちええやろなあ、
けど、どう考えても不審者になってしまうなあ。
とかアホなこと考えてるうちに、岡崎公園内、
京都国立近代美術館のバス停に到着です。
ここから無鄰菴はすぐそこなんですが、
そこに行くと、ワシの毛穴という毛穴から、
熱意みたいなもんが、ダダ漏れになって、
何もする気がしなくなることが目に見えてるので、
ここは我慢して、混むことで有名な5番の市バスを待ちます。

思った以上の混雑!
「京都の観光客、やっぱすげえわ!」と思ってたんですが、
南禅寺、永観堂でもほとんど降りず、
「ここやろ!」と思ってた銀閣寺道でも、数人しか降りず、バス北上します。
「みんなどこに行くんやろ。もしかしてワシの目的地と同じ?それはちょっとなあ」とか思ってると、
上終町で降りること、降りること。
2/3くらいの乗客が、そこで降りはりました。
しかも若い人ばかり。
そうか、ここには京都芸術大学(旧京都造形大学)があって、
今、午後からの授業が始まるタイミングなのだな。

納得した後で、ワシは一乗寺清水町でバスを降ります。
ここからは上り坂、初夏の気持ちよさを味わってたんですが、
そんな余裕はなくなります。
噴き出る汗。ああ、この暑さが恨めしい。

着いた先は曼殊院門跡
新緑の美しさに、さっきまでの愚痴が噴き飛びます。
「この時期に来て、ほんまに良かった!」

以前も来たことあるはずなんすが、
こんな時、海馬の弱さが役に立ちます。
ほとんど何も覚えてません。
「こんな広いお寺だったのか!」
「さすが門跡寺院、建物も装飾も美しい!」
曼殊院は桂離宮とも近しい寺院なので、
床の間の違い棚(曼殊院棚というそうです。)ひとつ取っても、
洗練された美しさです。
撮影禁止なので、カメラのこととか気にせず、味わいます。
庭もやっぱりええんですわ。

寺のすぐ奥は、比叡山に続く崖で、それをうまく利用した庭。
観てて飽きないんですが、また「ワシ、ただこんなことしてるだけでええんやろか」
って気持ちが少し湧いて来ます。
まあ、ええんでしょうな。

そし曼殊院に来た最大の目的、去年、再建された宸殿と、
それに合わせて、京都国立博物館に預けてたのが里帰りしてる
黄不動さんの見学です。
今後は秘仏扱いになるということで、多分最後のチャンス、
モノにしました。
美術的な価値はさっぱりわかりませんが、
不動さんやのに、そんなに怖くなく、
お腹、ぽっこりしてはって、なんとなく親しみが湧きました。

西に向いた宸殿のお庭は広々として、塀の向こうには空が広がってて、
比叡山に向いた東側のお庭とは、対照的です。

もちろん、こういうところに来ると、もれなくぼ〜〜っと座り込むワシです。
「気持ちええなあ。寝落ちしそうやなあ」と思ってると、
なんだか鳥の声とは違う鳴き声が。

あれ?これって蝉?
ミンミンゼミかニイニイゼミ。
もしくは両方。

毎年、初蝉は、沖縄で聴くことが多いのですが、
京都で、しかも洛北の曼殊院で。
ちょっとビックリでした。

一応、当初の目的果たしたので、ぶらつきながら白川通を目指します。
ワシ、すぐにスケジュール埋めてしまう癖があるのですが、
実は、こういうスケジュールの決まってない時間が好きなのかもしれんです。
長閑。

ええ気持ちでしばらく歩いてると、「圓光寺」の案内が出て来ました。
行ったことないかも。

徳川家康公と繋がりのある由緒正しきお寺らしいです。

やたらと、トカゲがいました。

庭もなんだか大胆で面白いぞ!
ちょっと重森三玲さんの庭を思わせます。

手前の大胆な庭と、また対照的に奥の庭は、木が多くて落ち着いてます。
ずっと奥に行くと、高台で、西山が見渡せます。
ここには徳川家康公のお墓が。
なんでも、家康公の歯が埋葬されてるようです。
なんだかんだ、秀吉公と同じ東山の一角にお墓あるんやなあ、
信長公も紫野やしなあ、三成公も、信長公のすぐ近くやしなあ。
あの世では、皆さん、ご近所で仲良くしてはるのかもしれんなあ。

初めて見た「鹿罠注意」の標識。

竹林や苔も美しく、
なんやみんなが京都に求めるもの、揃った寺やなあ、思いました。
圓光寺、けっこうオススメです。

さて、次の予定まで、まだまだ時間はあります。
ちょっと京都で行きたいところあったのですが、
離れてるし、期間のあるモノでもなかったんで、
この日は東山界隈でまとめることにしましょう。

また市バスの5番で折り返して、南禅寺のところで降ります。


このあたりのお屋敷界隈ってどないなってるんでしょう。
お屋敷なのか、お寺かなんか施設なんか、ようわからんけど、
ずっと塀が続いてて、かなり歩いた、思っても同じ塀で、
なんだか縮尺がわからなくなって来ます。

その先にあるのは、野村證券の創業者、
野村得庵さんのコレクションを展示してる野村美術館

おりしも、「野村得庵のまなざし」という展覧会が開かれてました。

掛け軸と、茶道具などを組み合わせた展覧会。
もう眩いばかりの逸品ぞろいで、
「このうち、ひとつでも持ってたら人生勝ったような気分になりそうやな」思います。
けど、自分とかけ離れすぎてて、そんなに口惜しくはないのでした。

また岡崎のお屋敷街を歩きます。
ほんまになんやろ、この塀。
お昼にバスに乗ったあたりに戻って来ました。
インクラインとこでは新郎新婦?モデルさん?が、撮影してたり、
動物園の観覧車がゆったり回ってたりします。
この観覧車撮った場所の真後ろが無鄰菴です。
でも、観覧時間はもう終わってます。
開いてたら、また寄ってしまうとこやったやろな。
いろいろ回って、もうお腹いっぱいやったので、
ちょっと安心。

お昼に通った時に見つけた白川に面した、ええ感じのカフェで休憩します。
小腹がすいたので、なぜかオシャレカフェなのに置いてたスパムおにぎりとアイスコーヒー。
変な組み合わせですが、どっちも美味かったですよ。
今調べると「Three HORSES KYOTO」ってカフェやったみたいです。
まあオシャレ!

東山仁王門に出て、市バスに乗ろうとすると、

あ!こないだ田口くんが教えてくれた「ナビオ東山仁王門」!
確認できて良かった!

で、ここからバスで七条京阪を目指すのですが、
乗った時は、けっこう空いてたんですが、
このバスの路線が、東山通りから七条通り経由する路線で、
祇園、清水寺、三十三間堂と名だたる観光地を巡って、
京都駅に向かうため、途中から、すごい混み具合。
最後は、「次のバスをお待ちください」のアナウンスまで出てくる始末。
ほんまに平日やのに、京都の混みかた、凄いです。
降りれるかどうか不安だったんですが、
けっこう降りる人多くて、なんとか流れに乗って、七条京阪で降りました。
次の目的地は七条大橋を渡ってすぐのところ。
目標時間は17時。
で、この時の時間は16時57分。
ワシ、完璧ですやん!

このあとの話は、また別のブログでご紹介します。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA