すべては現象なのかもしれない。BBBムービー「ボタニスト植物を愛する少年」。
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詩的な美しさを湛えつつ、ものすごく、淡々と物語は進む。
表だった事件は何も起こらないようにも見えるのだけど、
少年の中で、少しずつ、自分の生きている世界と自分との関係が、
深化して行く感じがして、
ワシはわりと好きな映画だった。


まず新疆(しんきょう)ウイグル地区を舞台にしてるってことで興味を惹かれた。
物語の中に、資源の宝庫として将来、開発されゆく話や、
漢民族の女の子の初恋か初恋以前のエピソードも絡むのだけど、
それすら、少年の中では、周りの植物と同じような、
現象として、捉えられてる気がする。
兄が故郷を離れたり、少女が遠いところに引っ越したり、
エピソードとしては、いろいろあるのだが、
それらすべてを飲み込んで、何事もなかったように、
流れてゆく時間を感じる。
少女とのやりとり、淡く、切なく、美しいのだけど、
その少女との関係で少年の心は揺れるのだけれど、
大きな流れの中では、それもあまり大きな意味を持たないのかもしれない。
人間のすることも含め、すべからくすべてのことは、
水が下に流れるような現象なのかもしれない、と映画を観てたら思えてきた。
種のあるところに、土と水があれば、植物は芽を出すように。
そう考えると、ワシの喜びも、ワシの怒りも、
ワシ固有のものではなく「こういう条件が揃えば、こうなる」、
ってだけのことなのかもしれない。
だとすると、風が吹けば、老いた葉は、落ち葉となることを、
嘆いても仕方ないように、
人間の生死も、嘆くようなことではない、
そんな気がしてきた。
少年にだけ、その言葉がわかる黒い馬は、
少年のイマジナリーフレンドなのだろうか。
失踪した叔父が輪廻転生してきたものなのだろうか。
それすら、どちらでもいいのだろう。
この馬のおかげで、映画の持つ豊かさが、
さらに広がっているのだから。
本当の新疆ウイグル地区の現状を、
この映画から測るのは間違ってるのかもしれないけど、
この映画を通じてワシの観た新疆ウイグル地区は、
精神的に豊かで、その背景に、長い民族固有の文化を持った地区に思えた。

