福本清三さんを好きにならずには、いられない。BBBムービー「太秦ライムライト」「福本清三 どこかで誰かが見ていてくれる」。
東映太秦撮影所の大部屋俳優、
「五万回斬られた男」として有名な斬られ役の名人芸で、
ハリウッドにまで出演した、福本清三さんの、
唯一の主演映画「太秦ライムライト」と、
ドキュメンタリー映画「福本清三 どこかで誰かが見ていてくれる」を観てきた。
ドキュメンタリー映画が新作で、主演映画は、その新作上映に伴う
2014年の作品のリバイバル上映で、上映期間短かったので、
まず「太秦ライムライト」から観に行った。
この順番で観て、ほんまに良かった。
ドキュメンタリー観てから主演映画観たら、
各シーンの背景やら、エピソードやら思い出して、
きっとボロボロ泣いて、ストーリー頭に入ってこなかったと思う。
ということで、まずは、「太秦ライムライト」の感想から。
公式サイト
主演映画とは言っても、主人公は、映画会社専属の大部屋俳優で、
斬られ役として有名な男ということなので、
ほぼ福本さんがモデルの当て書きで、
出身も福本さんお故郷、香住あたりに設定されて、
ある意味、福本さんの伝記映画的な映画でもある。
現実とストーリーが混じってくるような感じにやや苦労。
大枠では、ベタなくらい予想通りの展開やったんやけど、
もう福本さんが本人役に近い主役で出てるってだけで、
一瞬一瞬が嬉しくて、観逃せない気持ちになった。
普段の映画なら斬られてフェードアウトしてしまう福本さんを、
横たわるまで追っかけるカメラが、何か新鮮な気もした。

ストーリーはタイトルからも分かるように、
チャップリンのライムライトを太秦版に書き換えたような、
老俳優から、伸び悩む若手女優への、技術と精神のバトンタッチみたいな流れ。
福本さんがチャップリンを大尊敬してたことにもよるんだろうけど、
時代劇は、もちろん、映画そのものへの愛の感じられる映画でした。
その福本さんへの愛、映画への愛に共鳴したのか、
松方弘樹さんや小林稔侍さん、
去年亡くなった栗塚旭さんなどの東映ゆかりの俳優たちも、出演してるし、
中島貞夫監督も、監督役で出演!
むちゃくちゃ豪華な人たちが、大部屋俳優のために集まってる。
福本さん、ほんまに恐縮したやろなあ(笑)
ほとんど悪者は出てこない映画やったんやけど、
唯一、悪者っぽいのは、大部屋俳優に対する敬意の全くない若手監督。
あの後、なんとなく干されてる感じはあったけど、
もっと分かりやすく、やっつけられるシーンが欲しかったな(笑)
けど、あの辺りには、今も映画業界が抱える、
構造的な問題が、潜んでいるようにも思った。
公開当時、観逃してて、いつか観たいと思ってた映画なので、
この機会に観られて、本当に良かったです。
そして、今年公開の福本さんのドキュメンタリー映画、
「福本清三 どこかで誰かが見ていてくれる」。
公式サイト
こちらは「太秦ライムライト」の大量に見つかったという未公開映像などを中心に、
インタビューも混えて、2021年に亡くなった福本清三さんの人生を辿るドキュメンタリー映画。

ワシ、この映画、
今年一番泣いたかもしれない。
今年一番笑ったかもしれない。
ほんまに心から映画を愛し、
その真っ直ぐな映画愛と、謙虚な姿勢で、
誰からも愛されていた人やったんやなあ。
その福本さんの映画への愛が、真ん中にあるから、
この映画からも、映画愛が溢れるくらいに感じられる。
芝居の奥の深さを知り、自分の力を知り、
できることのために努力を惜しまず、
ほんまに斬られ職人として、
名誉欲などとは一番遠いところにいたからこそ、
トムクルーズ含め、誰からも、その私心ない人柄を愛されたんやなあ、と思う。
「こういうことをしたから、こうなるはず」と言うのは、
今の世界に毒された、報酬がなければ、動かないというさもしい考えなんやなあ。
損得を考えず、ひたすら「どこかで誰かが見ていてくれる」とできることに、打ち込む。
ワシも、すぐ打算的なこと考えてしまうんやけど、
どこかで、そうやって生きていきたいとは思っている。
これからは、心に福本さんを置いて、
「損得で動いてないか」をチェックしながら、
「どこかで誰かが見ていてくれる」と思って、生きていきたいと思う。
福本さん、本名「橋本」なんやな、なんか嬉しい。
ほんで、奥さんや娘さん、ご家族の口から語られる福本さんの姿は、
名斬られ役ではなく、ほんまに可愛らしいおっちゃんそのもの。
一度だけ、タクシーで帰ってきた時の話が、もうむちゃくちゃ可愛くて、大好きでした。
上映館が少ないのが、すごく残念だけど、
大阪十三の第七藝術劇場で、少なくとも、7/17(金)までは、
上映してるみたいなので、皆さん、是非!

