戦争があろうとなかろうと、少年は悩み、つまづき、生きていく。BBBムービー「君の見る世界をなぞる」。
※ネタバレ、あります。
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ちょっと複雑に揺れるけど、
キュンとくる青春映画の名作で、あることは間違いないなあ。
裕福で、お父さんは、少しめんどくさいけど、
家族もみんな優しくて、彼を大事に思っている。
けど思春期特有の反抗心や、優秀な兄へのコンプレックスや、
映画の中で次第に明らかになっていく性的嗜好が絡まって、
少し、ドロップアウト気味の主人公。
そのひとつひとつの気持ちが、切なくて、痛くて、
時々、観るのが辛くなった。

舞台はフランスだけど、地続きのウクライナの戦争が、
非常時ではなく、日常化してるように思えることが、
ちょっと怖かった。
戦争を背負いつつも、まるで、出稼ぎにでも来たかのようなウクライナからの移民、
そんなこと、本当に違う星でもあるかのように、のどかなフランスの田舎町。
だけど、少年は、その彼を窓のようにして、過酷な現実を覗き見て、
そこに「生きる」リアリティを感じているのかもしれない。
少年の気持ちが彼に向かうのは、
もちろん、好みの問題もあるけれど、
裕福で、のほほんとした(ように見える)家族と比べて、
彼の生きる世界が、痛いほど、リアルに思えたからではないだろうか。
その彼の優しさが、また切ない。
少年を受け入れることはできないけど、
弟分のような愛しさは、ずっと感じているのだろう。
最後の電話は、もう辛過ぎた。
ひとつ乗り越えて、家族との時間を楽しむ少年のところに、
まさに前線からの彼の電話。
フランスの状況と、ウクライナの状況の、
残酷なほど、鮮やかな対比。
映画では描かれてないけど、エンドロールの裏にある状況を想像してしまう。
本当に一刻も早く、ウクライナの人たち、そしてロシアの人たちが、
ドローンに怯えることなく、眠れる日がやってきますように。
どんな状況でも、少年は、悩み、傷つき、生きていく。
ヨーロッパの現状を、冷静に見つめた上で、
その時代に青春を送る若者の繊細な気持ちを描いた、
名作青春映画で、ございました。

