京の夏の旅2024。

今、「京の夏の旅」開催中なので、東山エリアの公開スポット、
昨日、まとめて観に行くことにした。
一昨日は、台風が去った後の、少し涼しい気候だったので、
「ちょうどええか」思ってたんやけど、
昨日は、「夏、終わらせるもんか!」くらいの暑さぶり返しで、
ほんま「夏」の旅、でしたわ。
水分補給、気をつけまくってたんやけど、
それでも、ちょっとバテた。
まあ、行ったことないとこ、いろいろ行けたんで、
満足では、ございます。

まずは、お京阪で京都に向かう。
ワシは天満橋から乗るので、混んでて座れないことも多いのだが、
昨日はさすがに平日の真っ昼間、けっこう空いてそうやったんで、
二階席を目指す。

天気も良くて、眺めもええ!
しかし、他にも、席、結構空いてるし、
日が差してるわけでもないのに、
わざわざ二階車輌に乗って、
カーテンぴっちり閉めてる人の気持ちって、
景色好きのワシには、よく分からんなー。

七条京阪降りて外に出ると、ほんま熱気がブワッと来た。
第一目的地の智積院までは、
1キロ足らずやけど、バスに乗ろうか、思うくらいの凶暴さ。
京都の暑さ、ほんま質が違うなあ。
Googleさんに聞くと、バスまで15分くらいある。
その時間あったら、歩いても着くなあ、と、日影を選びながら、向かう。

智積院は七条通りの東の端、四条通で言うと、祇園さんの位置にある、
大きなお寺。
おかんの職場が、このすぐ近くなんで子どもの頃に、
連れて来られた記憶がウッスラあるんやけど、
境内に入るのは、たぶん50年以上ぶりなんやろなあ。

虚子が句を詠んでたり、さすが京都の名刹はエピソードが多い。

庭は撮影可能でございました。
東山の山裾を利用しつつ、築山をアクセントに、手前に池を配したお庭で、
すごく計算されて作っているだろうけど、
その作為を感じさせない、ええ庭やなあ、思いました。
枯山水でも、池泉回遊でもない、こういうお庭って、
一番自然に近い気がして、わりと好きなんですよね〜。
その中でも、ここのは完成度高い気がしますわ〜。
根拠、聞かれても、知らんけど。
利休好みらしいんすが、どの辺が利休さん好きなんかは、ようわからず。

中に入ると、スッと暑さが引いていくように感じられるのが不思議です。
「風が気持ちいい」「つくつく法師が鳴いてる」とか、
暑さで追いやられてた他のことに気づいたりします。
ほんま、昔の京都の建物って、暑さ対策できてるんやろうなあ。

ここの座敷は「撮ったらあかん」と書いたもんは、
見当たらなかったんで、撮りましたが、
良かったのか?
怒られたら、外しますわ。

この奥の宸殿が、今回の特別公開。
堂本印象画伯の有名な「婦女喫茶図」とかが間近で観られるんですが、
流石に、撮影NG。
ワシ、堂本印象さん、まあまあ好きなんですが、
この絵は、テレビとか写真で観た時から、
「あんまりピンと来んなあ」思ってて、
実物観たら、気持ち変わるかなあ、思ってたんですが、
やっぱり、あんまりピンと来ないままでした。
描いた頃も、この絵は賛否両輪で、
印象さん「百年経てば、この絵の価値がわかる」みたいなこと、
ゆーてはったらしい。
すんません!ワシ、古い人間みたいですわ。

七条通りから見ると閉ざされてる正面の門が、中からなら観られました。
まっすぐ七条通りが、この門から生えてて、
ほんま祇園さんの西楼門みたいですわ。

智積院、それほど観光化されてないけど、
広いし、ええ庭も、ええ絵もあるし、
お堂とか、木々も美しくて、京都以外にあったら、
一番の観光スポットになるんやろうなあ、思います。
まあ、そんな欲のないところが、ワシ的には「ええなあ」思いました。

それは、去年4月にオープンしたばかりの宝物館行って、
さらに思いました。
ほんまは、今回特別公開の宸殿より、ここにずっと
一度来てみたい!と思ってたんです。
ここには、長谷川等伯一門の国宝障壁画、
いわゆる「桜楓図」が常時展示してあるんですわ。
(「楓図」「桜図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵図」「松に立葵図」「雪松図」)

もちろん撮影NGなんですが、
うへえ!360度等伯!!
しかも、たまたま他に客おらんタイミング!
あの何度も観た煌びやかな絵、
胡粉を厚塗りして盛り上がった絵!
視界の全部がそれ!
しかも、それを独り占め!
桃山時代から、たくさんの人が惚れ惚れと観たこの絵の、
一番近くに、今、ワシがいる。
この瞬間って、誰も覚えてなくても、
絶対に消えることない瞬間なんやなあ、
と思うと、思わずニヤニヤしてました。
他に人おらんで良かったと思うくらい、
だらしない顔してた気がします。

けど、長谷川等伯さんが、自分以上の才能と期待してたのに、
25歳で亡くなった息子の久蔵さんの作品や、
その死で打ちひしがれた後に、
気力を振り絞って描いた等伯さんの作品を観て、
その物語に心を向かわせると、
ワシを取り巻く絵の奥にある、作者の思いに少し触れた気がして、
余計にこの時間が愛おしくも思えるのでした。

桜楓図、絵によっては、襖と襖の間で、ズレてるところがあります。
全体でずらすと、ぴったり合うらしく、
そんなことから、昔はもっと天地のある絵だったのではないか、
と推測されてるらしいです。
智積院は、何度も火災に遭ってる寺で、
その度に、この宝の絵は、お坊さんたちに運び出されて、
なんとか現代に伝わってると聞くので、
もしかしたら、その火災で、上部分とか下部分とかが失われて、
今のような形になってるんかもしれんすね。
あ、これワシの推測ですが。

この宝物館の横にも新しい建物がありました。
聞くと、宿泊施設らいいです。
調べたら、けっこうお高いんで、泊まることはないやろうけど、
お昼ごはんくらいなら食べに来たいなあ。

「また絶対来よう」と思いつつ、智積院を出て、
時間もあるんで、西向かいの養源院や法住寺にも行こうか、
と色気出したんですが、
外に出ると、思い出す、あの暑さ。
いやいや体力あるうちに、予定してたところに行こう、
智積院、また来る気持ちを高めるためにも、養源院と法住寺は置いておこう、
その時には、泉涌寺や東福寺とか七条東山エリアだけゆっくり回ろう、
とか次の計画立てながら、バスを待ちます。

東山通りを四条近くまでバスで行って、
目指したのは、大雲院
あの大倉財閥の創始者、大倉喜八郎さんが、
「わしゃ、祇園祭、好きでたまらんのよ。年中ずっと鉾、観ときたいのよ」
みたいな感じで作ったらしい、祇園閣のあることで有名なお寺さんです。

祇園のいろんなとこから見えるこの建物、
子どもの頃から「なんやろなあ」思ってた建物に初潜入でございます。

見上げると、祇園閣、思った以上の高さ!
高所恐怖症の血がざわつきます。
しかもかなり急な階段。
けど、この階段を囲む壁という壁に、莫高窟を模したという壁画がびっしり描かれてます。
もう、横尾忠則さんか田名網敬一さんか、というくらい、
ちょいえぐ目の極彩色。
それを見上げながら「次どんなん?次どんなん?」と進むので、
階段、そんなに辛く感じませんでした。

登り切ると、またここも360度の眺望。
南に八坂の塔、時計回りに京都タワー、この日は西山もくっきり見えます。
たぶんあの辺が御所、あれは船岡山やろうか、おお!五山の妙法が、二つとも見えてる。(たぶん)
比叡山の手前には、吉田山、とすると、あれはくろ谷さん。
平安神宮の鳥居や、知恩院も見えてる。
右大文字も「大」の字の右端くらいが見えてる。
特に東山をこんな間近で見渡せる場所って、清水寺でもないもんなあ。

これには、ほんま見惚れてしまって、高所恐怖症、思い出す暇もあまりありませんでした。
移動する時は怖かったけどね。
ここは、住宅街のど真ん中なので、外も撮影禁止でした。
ぜひ、行って確かめてください。

降る階段は、登りより怖かったんですが、
件の壁画が、登る時と全然違って見えて、新鮮でございました。

「京の夏の旅」は二ヶ所行くと、何ヶ所かのお店で、ちょこっとしたものが頂けるみたいなんで、
「伝統の二軒茶屋でなんか食えるのか?」と期待しましたが、
そこはリストに載ってませんでした。
残念!

ということで、三ヶ所目は八坂神社です。
何回も来てる場所ではありますが、本殿の中に入るのはもちろん初めて。
室内なので、眺めとか期待できるわけじゃないし、
有名な絵画や彫刻があるわけでもないのですが、
京都を京都たらしめている龍穴の真上近くにいる、
祇園祭の所以の近くに立ってる、と思うだけで、引き締まるものがあります。
ここは、靴下が丸必なので、ご注意ください。
ワシも、もちろん持参いたしました。

さて、この日、最後の訪問場所は、八坂さんのすぐ近く、
円山公園の中にあります。
そこを目指して歩くと、こんなお社が。

はは〜〜ん、これか!美肌になるってお水は。
もちろん、塗っておきましたよ。
シミのできてるところに。
これでシミなくなったら、ワシ、ほんまお礼しに行きますわ。

夏に円山公園来るのって、なんかめっちゃ久しぶりな気がする。
桜咲いてるとキレイすぎて、ちょっと怖い枝垂れ桜も、
夏場は、こんなむさ苦しい感じなんすね。

けど、つまりは、栄養分、ぎょうさん蓄えてるってことなんやろな。
また来春、怖くなるくらいキレイな花、咲かせてくださいよ。

さて、四つ目、この日最後の「京の夏の旅」は、この桜の隣の長楽館でございます。

ここは、1・2階がカフェになってて、普段から入れるんですが、
今回の特別拝観では、普段は入れない、3階にある和室に入れるんですわ。
この洋館の中に和室??

中に入っても、信じられません。

3階に登る階段で少し「お?」匂いがしてきた。

で、この茶室ですわ。

うむむむむ。絶妙!
外から見ると、「洋」にしか見えない丸窓も、中から見ると、完全に「和」。
かと言って、全部を和にするのではなく、
ステンドグラスに、この頃の「洋」を感じさせる。
けど、そのステンドグラスの模様は、桜に紅葉。
奇しくも、この日に行った智積院の長谷川等伯一門の描いたのと同じモチーフ。
この、そんじょそこらとは違う、一筋縄ではいかない、
折り重なるような和洋折衷には参りました。
この茶室は、表千家の「残月亭」の写しらしいです。

そして、この特別公開のメインは、「御成の間」。

入った瞬間、「うわ!」と声を上げてしまいました。
黄金色に輝く、隙のない豪華な大広間。
襖、壁、欄間、天井、すべての装飾が繋がっているようです。
照明は、なんとバカラ。
なのにちっとも浮いてない。
すべてが調和して、ひとつの世界を作っている。
しかも、ここは3階なので、窓外の景色は、平屋の日本建築にはない開放感がある。
こんな部屋は、今まで入ったことがありません。
寝転んで、天井を見上げたい欲が沸々と湧いてきます。
係の方がいなかったら、やってしまってたでしょう。
この時間、タイミング良かったのか、係の方が、マンツーマンで対応してくれて、
ワシのアホな質問に丁寧に答えてくれてはったのです。

けど他のお客さんがいらっしゃったので、
係の方をお譲りするように、ワシは潔く、部屋を出たのでした!
まあ、かなり長い間、見惚れていたとは思いますが。

控室ですら、無茶苦茶、立派。
「ここに泊まりたいなあ」と思ってしまいました。
「そうや考えたら、長楽館には宿泊施設もあったはず!」と、
検索しました。。
すみません!ワシが少しでも、そんなこと思ったこと、謝ります。
たとえ、宝くじで三億当たっても、小心者のワシには、
よう泊まれんくらいのお値段でした。
きっと泊まったら、「汚したらあかん」思って、
ヒヤヒヤしながら、チェックアウト時間を心待ちにしそうな気がします。

けど、少しくらいの贅沢はさせて頂きましょう。
ここを最後にしたのは、歩き回った後、ここのカフェで休憩しようと思ってたからでした。
一階に戻って案内を請います。

ここのカフェには、いくつかのお部屋があって、
どの部屋も、アフタヌーンティーに興じる
奥様方、若い女性たち、カップルで賑わっています。

と言っても、すべての席が、
埋まってるようには見えなかったのですが。

異分子度が過ぎるのか。
リュックにサンダル、つげ義春のTシャツに、
カニコーセンのタオルを首に巻いた、
短パン初老男子は、
誰もいない部屋に通されました。

けど、そんなこと、気にするお年頃ではありません。
「静かでええなあ」思いながら、
窓から見える比叡山を飽かず眺めながら、
人生で一番お高いかもしれないアイスコーヒーを、
味わって頂きました。
これ、ほんま美味かったです!

そろそろお暇するかな?
と、階段を降りるついでに他の部屋も覗きます。

このタイルが美しい部屋は、たぶん旧喫煙室。
そう、この建物、煙草王と呼ばれた村井吉兵衛さんが建てたものなので、
こういう部屋があるのです。
なのに、今は全館禁煙みたい。
「煙草で財を成したくせに、なにゆうてる」と思わんでもないですが、
まあ、時代が時代やし、しゃあないか。

最後、トイレに行ったのですが、ここの洗面ボウルが新鮮でした。
「どこから水出るんやろ?」思いながら栓を回すと、、。

なんかむっちゃびっくりして写真撮ってしまいました。
けど、確かに洗いやすかったです。

外に出てみたはええものの、
「時間あったら寄ろうかな?」と思ってた美術館に行くには時間が足りない、
かと言って、次の目的地に向かうには、ちょい早すぎる。
とか思いつつ、祇園のバス停に向かうと、路地に、
なんかの番組で観た、立ち飲みの「山根子」がありました。

そうそう、クラフトビールがいろいろ飲めるって番組だったな。
けど、そこそこの値段。
立ち飲みとはゆーても、ワシが普段行くのとは違って、オシャレ立ち飲みやな。
と、この店も、ややアウェイ感ありましたが、
「お好きな場所へ」と言ってもらえたので、少し救われました。

さて、以上で「京の夏の旅」は終わりです。
このあと、東山エリアから、北山エリアに飛んで、
楽しみにしてたライブにお邪魔するのですが、
その話は、また別のブログで。
その話も今日書こうと思ってたんですが、
思ってた以上に、このブログに時間かけてしまったので、
また後日。
ほんまええライブでしたよ。
乞うご期待!

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