ワシの心にも、チクっと小さく深い痛みが走りました。BBBムービー「ピアス 刺心」。
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痛い映画だった。「ピアス」というタイトルも、
フェンシングという素材も、映画とすごく合ってる気がした。
ピンポイントで体を刺し通す穴のように、
心に真っ直ぐ突き刺さるひとつの傷。

本心では、兄を好きで、尊敬もしてる、
なのに信じきれず、揺れる弟、
母にも拒まれ、世界とつながる唯一の糸のような弟を、
愛しながら、拒まれてしまう兄の行き場のない思い。
その二人を中心に周りの人々の感情も、
細やかに描かれて、何だか切なくて、泣けてくるストーリーだった。
そんな感情は、ひとつの昔の事件へと向かっていく。
きっと、兄が一番に求め続けているのは、母の愛なのだろう。
その母に疑われ、拒まれる。
最初の事件も、あのとき、迷いがあったとしたら、
母の愛を独占したい、子どもらしい気持ちだったのかもしれない。
そう思うと、兄の現在の気持ちが痛すぎて、
ワシの心にも、その痛みが、突き刺さってくるのであった。
あの母の再婚相手との食事会のシーンは素晴らしい。
母の嘘に乗っかり、スラスラと嘘を重ねる兄、
その饒舌さに、兄に対する信頼が薄らいでいく弟。
兄のその態度に本能的な恐怖を感じる子ども。
表面上は、なごやかな食事会シーンで、
ここまで裏側を語れる監督は、相当の実力の持ち主なのだろう。
こういう監督を輩出する台湾映画のレベルの高さに感心してしまった。

