彼らは、本当の父に会えなかったのかもしれない。BBBムービー「父と家族とわたしのこと」。

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なんと辛い話なのだろう。
戦争というのは、直接、関わってない子孫にまで、
これほどの傷を負わせるのだろうか。

戦争によって、人が変わったように、荒れる父を持った子どもたちの
抱える傷を、ひとつひとつ解きほぐすように追いかける映画だった。

素直に、父が亡くなったことを「悲しい」と思えることは、
なんて幸せなことなのだろう、と初めて思った。
この映画の登場人物は、みんな荒れ狂う父しか知らない。
父が亡くなったことで、その当時は心からホッとするほどに。

第二次世界大戦の時の日本に限らず、どの戦争でも、
被害に遭った人と同様に、加害の人にも大きな傷が残る。
古くは戦争神経症、今は戦争PTSDと言うのか。

イラク戦争の時、戦死したアメリカ兵より、
数倍の帰還後の自殺者がいたのは知らなかった。
みんながみんな、戦争PTSDが原因とは言えないかもしれないけど、
尋常じゃない数だ。

父親から虐待された子どもたちは、そういう親の姿しか知らないので、
自分の子どもにも、同じようなことを、してしまうことがあるのだそうだ。
そして孫までが、またその子どもに。そして、自分を責める。
なんと悲しい負の連鎖だろう。

きっと、直接戦争PTSDを負った一代目も、自分を責めて責めたのだろう。
だけど、どうしても、その荒れ狂う気持ちを抑えられない。
その結果が、自殺になってしまったりする。
子どもを虐待したくない。
でも、どうしてもしてしまう。
だったら、いなくなるしかない。
辛い。苦しい。自分がその立場だったら、と思うと気が狂いそうになる。

子どもたちは、当初は誰も、その心の傷が、
父親、もっと遡れば、戦争にあるとは、思ってなかったようだ。
病気は原因が分からないと、病状を悪化させるものなのだろう。
しかし、その病気と向き合うと言うことは、
ある意味、父親の戦争犯罪と向き合うことにもなる。
それは、とても過酷な作業なのだろう。
だけど、父親の傷が戦争によるものだと理解できたことで、
ようやく本当の父親の姿が、
彼らに少し見えて来たのではないか、という気がした。

「お父ちゃーん!」という最後の慟哭。
あの慟哭は、父の負った傷を思い、
その傷から逃げられなかった父の悲しみを思い、
その傷のせいで、本当の自分に、なかなか会えなかった自分の人生を思う、
幾重にも重なった、うめきだったのかもしれない。

ワシが気の毒で、ならないのは、
この人たちは、戦争がなければ、会えたであろう、
本当の父の姿を、知ることが出来なかった、ということだ。

戦争って、本当になんのためにするのだろう。
国を守るため?自国民でも、多くの人を死なせ、
生き残った人も、これほどまでに傷つける。
それで守ったものって、何?
ちっぽけなプライド?輸入資源?
先の戦争に限って言えば、それすら守れなかったではないか。

自国のことを考えれば、考えるほど、
「戦争って、損」と、ワシには思える。
ワシは利益とか関係なしに、戦争反対!唱えるが、
利益とかを優先しても、戦争して得なことなんて、
何もないと思うのだが。

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