フィクションやったら「この話、ありえない!」と思うほどの波瀾万丈。BBBムービー「オン・ザ・ロード~不屈の男 金大中~」。

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まったく、すごい人生を送られた方が、世の中にはいるもんやなあ。
何度も落選した末にようやく議員になった途端、
軍事クーデターが起こって、議会そのものがなくなったり、
日本も巻き込んだ有名な金大中事件でも、
文字通りの絶体絶命のギリギリのところで、命だけは助かったり、
「ほんまかよ!」と思う出来事が次々と起こる。
これがフィクションの映画やったら、
「ちょっとありえない」と思って、
鼻白んでまう気がするが、
ほんまのことなんやもんあ。

彼が「すごい」と思うのは、どんな時でも、
一番弱い人たちのため、自分の思う民主主義の信念を、
変えなかったことなんやないか。
党内で少数派になろうと、どうしようと、芯のところはしっかり守る。
その代わり、一番大事なところを守るために妥協すべきところがあれば、
多少、考えと違っても、そこは譲る。
清濁合わせ飲む技術も持っていた。

信念もありつつ、バランスも取れる。
そのためには、自分の命を顧みない。
こんなこと、自分の名誉欲や出世欲、
ましてや自己承認欲求で、できるはずがない。
崇高なまでに道の先を見つめてないと、とてもできることやないと思う。
日本で助命運動の起こった外国人政治家なんて、
彼だけかもしれない。
光州事件のことも、この映画を観て、より深く理解できた気がする。

そんな世襲も、大資本も関係なく、
与党の党員でもなく、野党の党首でもなかった、
少数派中の少数派の中から、
信念を貫き通した人が、大統領になる。
韓国という国を、少し羨ましく思ったりもする。

この映画は1987までのことなので、
その後の大統領時代、
IMFの介入や、経済政策、日韓共同宣言や北朝鮮への太陽政策などは、
語られていないが、
この人の全人生について、もっと知りたくなるような、
興味深い映画であった。

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