神戸をモチーフに、すべての人の、それぞれの心の傷を描こうとする物語だと思う。BBBムービー「港に灯がともる」。
安達もじりさん脚本・監督の映画なので、
先日再放送で観た、「心の傷を癒すということ」の続編にも思えた。
いや、医者の側から見たのと、心の傷を負った側から見たのとの両面と捉えるべきか。


震災で負った心の傷は、それぞれに違う。
それは、直接、震災の記憶がない人にも、
生活を通して、伝わってしまう。
そこに、世代や、国籍が絡む。
元々の家庭の事情や、性格も絡み、
本当に、一口では言えない、
その人その人の傷になっている。
この映画は、その一人一人の傷を丹念に描きつつ、
自分だけが傷を持ってるわけではないと気づいた主人公が、
自分の傷にも、人の傷にも向き合うことで、
自分にも、家族にも、他人にも、少し優しくなれた、
という物語なのだろう。
初主演らしい富田望生さんの演技が、印象的だった。
福島県出身ということで、ご自身の体験も含めての演技なのだろうけど、
関西出身ではないということ、映画観てる時には、
まったく思い出さないほど、言葉も自然だった。
観光ガイドのようなただのきれいでオシャレな神戸は、
ほとんど出てこないけど、
これは紛れもなく神戸の映画やなあ。
数回しか行ったことのない長田の町、丸五市場が、
すごく愛おしい場所に思えた。
震災をモチーフにしてるけど、
これは誰にでも、どの国にでも、いつの時代にも共通する、
人の傷、痛み、人との関係を描こうとしてる物語なのだろう。
だから、物語は、大団円のハッピーエンドでは終わらない。
そらそうやなあ、一人一人の気持ちは常に動いていく。
家族の気持ちも、関係も、これからどうなって行くかはわからない。
ほんに一瞬を捉えて、「めでたしめでたし」と終わらせてしまうのは、
乱暴だし、不自然だ。
けど、「きっと少しずつ、良くなって行くよね」と、
思えるところで終わってくれる匙加減が、
絶妙で、優しい。
ほぼ全編、痛ましいくらいに暗くて、辛いけども、
観終わると、あったかい気持ちになれる優しい映画やと思う。
ありがとうございます。
ひとつだけ、苦言を呈すると、スマホの文字とか、ノートの文字とか
「読めるもの」として展開するの、ほんま止めてほしいなあ。
老減には、老眼鏡かけたって、読めないんやから。
「読めなくていい」という前提で、出てるシーンもあったかもやけど、
そういうシーンになる度にうんざりして、映画への気持ちが萎えるんであった。

