人の痛みを理解できる人でありたいと思った。BBBムービー「カーテンコールの灯」。
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じんわりと、体の芯があったまって行くような映画だった。
家族、一人一人の気持ちを丁寧に設定して、
その根底にある共通の悲しみを、
ゆっくり描いて行く。

初めは「なんで、この家族、すれ違っちゃったんやろう」、
「あの木には、なんの意味があるんやろう」思いながら観てたけど、
それが、少しずつ分かってくるミステリー的な手法も、
映画の技法として、取り入れてる気がした。
そのすれ違いの原因がわかってくるのと逆に、
家族が、少しずつ距離を縮めて行って、再生して行く、
正反対の動きが感じられるのが、上手いなあ、と思う。
そして、劇団の人々、みんなええ人過ぎるくらい、ええ人なんやけど、
描かれてはいないものの、
きっとこの人たちも、同じような悲しみを背負ってるから、
ええ人でいられるんやろなあ、思った。
人間である限り、悲しみを背負ってることは、みんな同じやと思うけど、
ある人は、その自分の悲しみにしか目に入らなくなり、
悲しみを背負えば背負うほど、傲慢になり、
ある人は、自分の悲しみと対峙して、人の悲しみも理解するようになる。
お父さん、下手すれば、前者になりそうだったけど、
そこを、後者の塊のような劇団の人々に救われたような気がする。
ワシが後者であるとは言い切れないけど、
後者でありたいという気持ちは、
失わずにいたい、と映画を観てて思った。
ところどころに出てくる、ユーモラスなとこも、
なんか、その優しさの文脈で理解できる気がした。
そういう優しい気持ちを、思い出させてくれる、
ええ映画でございました。