こんな素晴らしい人を知らなかったことを反省します。BBBムービー「コルチャック先生」。
※ネタバレ、あります。
公式サイト
ワシは存じ上げなかったんやけど、「子供の権利」という、
今や当たり前に語られる概念の先駆者で、
ご自身もユダヤ系ポーランド人で、
ワルシャワでユダヤ系の子供のための孤児院を運営して、
その子供たちと運命を共にして、
ホロコーストの犠牲になったという、すごい経歴の方だった。
この映画は、その孤児院の運営を中心にしたストーリー。

ドキュメンタリーなのか?と思うほど、リアルな映像で、
町角には、ユダヤ人のご遺体が、街の風景のように転がり、
カリカリに痩せた餓死者が運ばれていき、
ちょっとしたことで、ナチスは、市民を撃ち殺す。
それに対して、誰も異を唱えない。
唱えた瞬間、自分も同じ運命を辿るからだろう。
そんな地獄のような中、子供たちは、ちゃんと生きていた。
喧嘩したり、恋したり、いたずらしたり、笑いあったりしながら。
だけど、その悲劇が、子供たちを素通りするはずもない。
肉身を失い、「ユダヤ人だから」というだけで、
好きな子と会えなくなり、
最後は、孤児院も追い出され。
ナチスだけでなく、ポーランド人にも、
ユダヤ人に対する差別意識があるのが、ちょっと驚いた。
これがヨーロッパに広がる「反ユダヤ」という意識なのか。
しかし、差別する側からの「反ユダヤ」に異を唱えるのは、当然にしても、
自分たちが支配する、非支配民族から抵抗された時に、
「反ユダヤ」を持ち出すのは、全然見当違いのような気がする。
それは、自分たちの先祖代々、苦しめられた「反ユダヤ」的扱いを、
自分たちが、他の民族にしてしまうことに、なるのではないか。
ナチスがするのはいけないくても、自分たちがするのはいい、
というのでは、そこにも、ナチスと同じ、
優生思想があるのではないか、と思ってしまう。
映画を観ながら、どうしても今の情勢のことが、頭をよぎる。
その中で、コルチャック先生の、毅然とした態度はびくともしない。
ユダヤ人を表す腕章は、決してしないし、
理不尽な扱いには、徹底的に抗議するし、
先生だけでも、国外に逃がそうとする同士にも、
「子供たちを置いていけるわけがない」突っぱねる。
それが許されるのは、先生が既に有名な人だった、
というのも、あるんだろうけど、
あの状況下で、いつまでも、それが許されるはずもない。
最終的に、どんな結果を招くのか、
重々承知の上での決意の行動なのだろう。
本当に強い人だと思う。
こんな凛々しく強い人が、この時代に、いたことが信じられなかった。
なぜか、日本の戦争映画を観るより、
日常に戦争が入り込んでくる様子が、
よりリアルに実感できた気がする。
つまり、すごく恐ろしい映画でもあった。

