渋谷毅と浮とハラナツコ@レインコート。
すんません!
もう二週間以上前のことなんですが、
十三、レインコートのライブに行ってきました。
まずは、昔、チラッと観て、すげえ好きになって、
ずっと観たいと思いながら、ライブに行けてなかった浮さん。
ようやく、ゆっくり観られました。
この日は、ハラナツコさんと登場。
ハラナツコさんは松井文ちゃんとの共演や、
のろしレコードのライブで何度か聴かせていただいた方だ。
浮さん、しっかり聴くのは初めてのはずなのに、
何度も聴いたことのあるような気がして不思議な気持ちになりました。
蝋燭の炎で、ゆっくりと揺れるような歌やなあ。
ハラさんのサックスが、寄り添う影のよう。
その影も蝋燭の炎で揺らめいている。
若い世代が、こういう音数の少ない、ひとつひとつの言葉に風景のある、
美しい音楽をやってくれるのが嬉しい。
そして観客もけっこう若い人が多い。
それも嬉しい。
「本当のことは、間違っていない。正しくもない。ウソではない」。
自分の頭で、掘るようにして深く考えてないと出てこない言葉やなあ。
真っ白な雪原に太陽がさして、ゆっくりつららが溶けて行くような温かさや、
夏の朝の気持ち良い風のような、
温度やその変化、風景を感じる音楽、
こういう音楽が本当に、ワシ好きなんやなあ、と
改めて教えてもらいました。
おおー!「月ぬ美しゃ」。
海に揺れる月の道が見える気がする。
上空には降るような星、
水平線の灯りは西表か、小浜か。
ということはここは竹富か。
長い間、会えてないワシの思い出の風景が、
ワシの頭の中で更新されていく。
人を許すことは、巡り巡って、自分を許すことに繋がるのだろう。
なぜか、そんなことが心に浮かんでくる」。
ラストの「港」、
ハラさんのイントロが、息の成分だけの音があったり、
和っぽい展開だったりで、尺八に聴こえたり、
本当に浮さんの音楽を広げてくれる。
初めての本格的な浮さんライブ、
最高のパートナーとのライブで、
本当に幸せでございました。
そして、ライブハウスでは、むちゃくちゃ久しぶりの渋谷毅さんソロ。
60年代から活躍する名ピアニスト、
先日も浅川マキさんの音源で聴いたばかりの渋谷さん、
レインコートで観られるとは思ってなかったなー。嬉しい!
ひとつひとつの音、そしてその繋がりとしてのメロディが、
美しくて、インテリジェンスを感じる。
インプロピゼーションやと思うんやけど、
ひとつのフレーズから違うフレーズに流れる理由みたいなんが、
生理的にわかる気がして、スッと気持ちよくなる。
ジャズなんやけど、どこかに日本的な匂いも感じる。
ニューヨークの石畳の路地を歩いてたはずなのに、
ふっと顔を上げると、先斗町やった、みたいな気分。
MCもボーカルもない、ピアノソロ。
こんな純粋に音楽だけに浸るライブって、久しぶりやなあ。
すごくきれいなメロディでも、どこかにスウィング感があって、
ああ、やっぱりジャズなんや、と実感する。
曲ごとに世界が広がって行き、
最終的には、なんか広大な高原を山の上から見晴らしているような、
広くて、気持ちいいものを感じていた。
最後は、やった!三人の共演。
紛れもない日本の光景、青い空と、流れる雲、吹き渡る風、山、海。
ピアノが入ると、こんなに音楽が広がるんやなあ。
もちろん渋谷さんやから、なんやろうけど。
渋谷さんが、浮さんのいいところをきっちり見抜いて、
大きな世界を広げてくれる。
浮さんは、その世界を気持ちよく漂い、
ハラさんが、浮さんと会話をして、
浮さんの気持ちを引き出す。
なんとも、気持ちのいい世界だ。
そんなに音数。多くもないのに、
こんなに雄弁な音楽ができるのやなあ。
珍しく仕事が立て込んでたりしたので、
ライブ終了後、すぐに帰ってしまったが、
浮さんとは、お話もしたかったなあ。
また、関西でお待ちしてます!