YES@NHKホール。
約10日ぶりの公共交通機関、使ってのお出かけは、
プログレ界の大御所、「YES」のライブ。
チケット高かったので、
なんとか、体調回復してホッとする。
家から一駅のNHKホール、というのも助かったな。
大御所の割には、けっこう素朴な手書きの立て看に迎えられる。
なんとなく、ネルシャツ&ロン毛の、
「あなたたち、普段は何をされてるのですか?」と聞きたくなる
おじさんパイセン軍団に囲まれるのかと覚悟してたが、
意外と皆さん普通で、
年代的には。やはりワシら〜少し上世代が中心ではあるけど、
けっこう若い人もおるし、
女性の割合も思ったより高くて、なんだかホッとする。
ワシが聴きまくっていたのは、高校時代〜大学くらいまでなので、
知ってるメンバーは、スティーブ・ハウ爺さんだけなのだが、
え?なに?このボーカル。
ジョン・アンダーソンやないの?
もしかしたら、生き別れた兄弟?
ひょっとしたらクローン?
それとも赤の他人のドッペルゲンガー?
ってくらい、ジョン・アンダーソンを思わせる声だったので、
なんとなく、すんなり音楽に入れた。
新譜とか30年聴いてないので、
新曲かどうかはわからんけど、
初めて聴く曲にも、往年の名曲の遺伝子を感じて、
ちょっと嬉しくなる。
メンバー、コロコロ変わるバンドやし、
ずっとおるメンバーとか一人もおらんけど、
もう「伝統芸YES」として確立されてるのかも。
たぶん、少しずつ、メンバーが残って、新しい人が入って、
YES自体は、100年後でも活動してるんかもな、
と思ったら、なんとなく老舗の鰻屋の、
江戸時代から継ぎ足し継ぎ足し使ってる秘伝のタレみたいな気がしてきた。
もしかしたら、モーニング娘。とかAKBとかの方式を、
世界で一番初めに導入したのは、YESなんかも、とか、
ましてや、知ってる曲だと!おー!てなる。
お!ハウ爺さんの前に、ラップスティール、出てきたぞ。
これは、「Going for the One」か!
ああ、嬉しい!
あれ?けど、こんなテンポやったっけ?
なんか、スピード感が少しゆっくりに思える。
それはイエスの問題なのか?
ワシの問題なのか?それとも、時代の問題なのか?
あと、緊張感は、やはり往年とは違う気がするなあ。
家に帰って、アルバムからの音源も聴いてみたが、
かたや、ライブ、かたや、スタジオ録音なので、
普通に考えたら、当然、ライブの方が緊張感ありそうなものだが、
ワシには、アルバムの方が、緊張感があって、
ドキドキするようなスリルや、疾走するようなスピード感を感じた。
けど、やはり少年の頃に聴いた音楽ってのは、
何か、いろいろな景色を連れてくるもんではあって、
長い間、思い出さなかった友だちとか、
高校の時、練習した校舎の片隅とか、
卒業以来頭に浮かんだことのないものが、
顕れてくるのが楽しかった。
お!この曲は「Siberian Khatru」。
これも、ずっと思い出してなかったのに、
始まると、頭の中でスラスラと次のフレーズが思い浮かぶ。
なんだか不思議な体験やなあ。
40年ほど、寝かせた甲斐があった、ということか。
相変わらず「すげえ!」とは思うものの、
度肝を抜かれたハウ爺のテクニックにも、
さほど驚かなくなったのも、ワシがあれから、いろいろ聴きまくって、
超絶テクニックに、たくさん触れてきたからなのか。
けど、ハウ爺、あのころは髪の毛ボサボサで、バケモノみたいやったのに、
えらいダンディにならはったもんやなあ。
ワシはなんとなく「懐メロバンド」や「カバーバンド」と、
「現役バンド」の違いは、緊張感の有無やと思ってるところがあるので、
ジョン・アンダーソンに比べて、ちょいほどけた感じのボーカルが、
少しずつ、不満にはなって行ってたのだが、
よく聴くと、ワシの知ってる昔の曲より、
今回発売したニューアルバムからの曲(たぶん)では、
ボーカルも、全体の演奏も緊張感が増しているような気がした。
そうか、その部分では現役のバンドなのだな。
伝統を重んじつつ、新しい要素を加えていく。
日本の工芸や祭りにも通じる思想、姿勢、
やはりYESは正しく、現役の伝統芸能の域に入ってきてるのかもしれない。
アンコールでは、出ました!「ラウンドアバウト」!
やっぱり名曲やなあ。
間違いなく、今日一グルーヴィでございました。
これは、乗れた!
考えたら、日本で一番売れたYESの曲って「ロンリー・ハート」やと思うんやけど、
それは、やらんかったな。
まあ、あれって、やっぱり「プログレのYES」って流れからは異質やもんな。
ワシも当時から「YESって素材を使った別の料理」みたいに思ってたなあ。
まあ、ワシ、あの曲しか知らんから、同じアルバムからの別の曲をやってたんかもしれんけど。
なんかワシの知ってる昔の音源ばかりで申し訳ないので、
(たぶん)現メンバーでの演奏を、最後にたっぷりと。
おまけで、帰りのエスカレーターからの大阪城。