芸術の秋「大阪編」②「塩田千春 つながる私(アイ)」@中之島美術館。

「trioパリ・東京・大阪モダンアートコレクション」に続いては、
同じく中之島美術館で開催中の「塩田千春 つながる私(アイ)」。

なんか会場に入る前の展示から、不思議な世界に連れて行かれる気がした。

無数に垂れ下がった赤い糸の中の曲がりくねった道を進む。
この糸は、すぐそこに垂れ下がっているのか、
糸の先端は、どこにあるのか、
遠近感が掴めない。

これは、観覧と言うより体験と言った方がいいのではないか。

会場に入るとさらに圧倒された。
会場を埋め尽くす巨大な白いトンネル。
もちろん、その白いトンネルは、ひとつの立体ではなく、
数限りない糸で構成されている。
自分がお蚕さまにでもなったかのような気分。
床の半分にはこれまた巨大なプール。

どこからか水音がするぞ。

糸に染み込ませてる水が、ゆっくり一箇所に集まって、
少しずつ、プールに落ちているようだ。
水面に映り込んだ白い糸のディティールが、
水面で不規則に揺れるのが面白い。
ここに喫茶スペースでもあれば、一日中座っていたい。
入っていきなり空間を支配された気分だったけど、
時間まで支配されてたのか。

他の作品もスケールがデカくて、面白いのだが、
館内で上映されてる塩田千春さんのインタビュー動画(30分くらい)を観てると、
作品のすべてが、塩田さん自身の生きること、
塩田さんの考える生と死、みたいなもんに繋がってる気がして、
ただの虚仮威しではなく、ひとつひとつが、真摯な作品だということが、
否応なしに伝わってくる。

発想は大胆で天才的だけど、
本人はいたって真面目で、
きちんと自分と向き合ってる人なんやなあ、と思った。

それでいて、ひとつひとつの作品は、デザイン性も高い。
絵画とか、彫刻とか、インスタレーションとかの枠は、
塩田さんには関係なくて、
都度都度、自分の表現したい手段を自然と選び取ってはるんやなあ。
本当に今の時代を代表する芸術家なんやなあ、と思った。

血管含めて「壁」へのこだわりを強く感じたけど、
それって、ベルリン在住ってことと、関係あるのかもしれんなあ。

グッズも面白かったんやけど、けっこうフェミニンな感じがしたので、
なかなか手が出なかった。
「なんでこんなことになったのか!」とやられた感じがして、
揖保乃糸とのコラボ商品を購入。
ワシ、意表突かれると弱いんですわ。

この展覧会では、動画は絶対観た方がいいと思ったけど、
ワシ、基本的には、展覧会での動画作品、少し苦手。
それはきっと、「時間を主導的に使いたい」っていう意識があって、
動画作品って、どうしてもある一定時間を、作者に奪われるからかもしれんなあ、
と、観ながら思ってしまった。
だからと言って、スルーできない自分の貧乏性せいでもあるんかも、やけど。

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