バーチャルがリアルを助ける存在であり続けますように。BBBムービー「本心」。
ちょっとエピソード盛りすぎてて、
溢れてしまってる感もあるけど、ええ映画やったと思う。
演技の上手い、豪華すぎるくらい豪華な出演者も溢れてるんやけど、
池松壮亮さんの存在感が際立っていた。
AIで人間を作り出すとか、リアルアバターなど、
技術的には近未来の話なんやけど、
舞台が普段ワシが生活を送ってる場所と、
そう変わらん感じなのが、余計に怖かったなあ。
人間にはいくつもの面がある。
ワシにしても、友だちの前でのワシと、
家族の前でのワシは微妙に違ってると思う。
そのどれが本心かなんて、自分でもわからんこともある。
ある意味、全部が本当の自分のペルソナだし、
全部が、本当の自分でもあるんやないか、と思ったりもする。
その自分の知らんかったことを、知ってしまうのが、
ええことなんやろうか、ようわからない。
リアルとバーチャルは、この映画にあるように、
どんどん垣根がなくなっていくのかもしれない。
いや、垣根がなくなるというより、
バーチャルが、どんどんリアルに侵食していくのか。
だけど、その分、本物の人間に対する痛みや共感は、
遠くなっていく可能性があると、この映画は警告してる気がした。
今やSNSによって、実際の人間関係以上に、
会ったことどころか、見たこともない、
名前も知らない人間に、悩まされたり、
自分の人生を狂わされたりもする。
そんな時に少しでも救いになるのは、
「本心」なのかもしれない。
その人の心から出る無垢の言葉。
バーチャルから発せられたリアルでは聞けなかったお母さんの本心、
その言葉に主人公は救われたのだろう。
この映画は、バーチャルの恐ろしさを語りつつも、
上手く使いこなせば、バーチャルはリアルを助けてくれる、
という祈りを込めた映画なのかもしれない、
と思った。
どこまで行っても、AIやバーチャルはリアルを助けるものであって欲しい。