民主主義の戦い方のお手本になるようなチリの情勢を描いたドキュメンタリー。BBBムービー「私の想う国」。
映画としても、民主主義を考える上でも、
興味がそそられる、すごいドキュメンタリー映画やったと想う。
地下鉄の値上げが、結果的に政権を倒して、
憲法を通して国体まで変えてしまうとは。
それが新自由主義の実験室のようなチリで起こったのもおもろいし、
その新自由主義が家父長制と並んで、
古く打倒すべきもののやり玉に上げられてるのも面白い。
リーダーのない抵抗というのも新鮮だったなあ。
みんなが前線。
現政権は具体的に対抗する相手がいない。
胸ぐらを掴む先がないのだ。
政権側としては、こんなにやりにくい戦いもないよな。
これは、他の国でも参考にすべき戦い方やと思う。
その前線の中でも、女性や先住民、
抑圧の一番の当事者たちが、中心になってたのがすごい。
つくづく民主主義というのは、勝ち取ることで、
強くなって行くものなのだなあ、と思い知った。
あ、決して暴力革命を肯定してるわけではない。
暴力で勝ち取ったものは、また暴力に屈するのではないかと思う。
そういう意味でも、この非暴力で国体を変えたチリの情勢に拍手を送りたい。
ちょっと面白かったのは、団結歌や、
壁を叩く石の音まで、とてもリズミカルで音楽的だったこと。
やはりチリもラテンの国で、
リズミカルな血が流れてるんやなあ、思った。
まだ新政権による憲法が認められてなくて、
目に見える形では進んだかどうか見えてないチリの情勢、
もしかしたら軍事政権の揺り戻しがあるかもしれないけど、
このときの戦いをベースに、
少しずつでも前に進んでいって欲しいと思う。