現代が直面してるSNSのリテラシーに警鐘を鳴らす50年前の事件。BBBムービー「セプテンバー5」。
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1972年のミュンヘンオリンピックで起きたテロ事件。
ワシが10歳のときなので、意味こそわからんかったけど、
記憶の断片に「えらい怖いことが起こった」というのは、残っている。
これは、その事件そのものではなく、
その事件に対応したテレビ局を描いた映画で、
「報道は、どこまで伝えるべきなのか」という問題を、
今の世の中に問う映画なのだろう。

まるでドキュメンタリーを観てるような、
緊張感がずっと続いて、息苦しくなってしまった。
手持ち中心のカメラワークも、その緊迫感を拡大する。
この事件は、世界で初めて、テロ行為が生中継された事件らしく、
その時初めて、人類は「どこまで報道すべきか」という問題を、
突きつけられたのかもしれない。
今、SNSで、テレビ局より遥かに不確かな情報が、
ほぼ同時に世界中を駆け巡っている。
この映画は、その危険性をも語ってるような気がした。
このテレビ局ですら悩んだリテラシーを、
すべての人に求めるのは、不可能だろう。
だったら、どうやって、この状況に対応していくべきなのか。
答えは、わからないけど、
その対応方法が、早急に確立されないと、
世界は、真実より早く伝わってしまうフェイクで、
どんどんおかしな方向に進んでいってしまう気がする。
50年前の事件が、現代に警鐘を鳴らしているような気がした。
ただ、少しだけ気になったのは、
どうして、この時期に、イスラエル人が、パレスチナ人のテロに殺された、
この事件の映画が、ドイツで製作されたのだろう。
そこに、パレスチナに対する政治的な意図のないことを、心から祈る。