これからの時代を生きていくてがかりになる映画かもしれない。BBBムービー「そして、アイヌ」。
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いきなり、すごくええ感じの口琴(ムックリ)の音で、映画が始まった。
アイヌに関する映画や、テレビ番組、ドラマ、いろいろ観てるけど、
こういう切り口のアイヌの映画は初めて観たなあ。

東京で、アイヌ料理店をやりながら、
暮らしている人を中心としたドキュメンタリー。
もちろん、アイヌの人は、北海道にだけいるわけではなく、
昔ながらの暮らしだけを守ってるわけでもない。
東京で暮らすなら、なおさらだろうし、
北海道にいても、今の文明を拒絶してるわけではない。
アイヌ文化に興味が高まってる今だからこそ、
この視点は大事なのかもしれない。
しかし、その暮らしには、やはりアイヌだからこその文化も息づく。
そらそうやな、ワシも関東風のうどんが苦手やったり、
大人になるまで、納豆が食べられなかったり、
育った地域、親から伝えられたものを核にして人間を作ってるもんな。
ワシらがなんとなく無自覚にやってることを、
アイヌの人たちは、意識的にやってるって違いはあるのかもしれない。
そこには、「意識的に守ろうとしなければ、なくなってしまう」
という危機感もあるだろうし、
いまだになくなったとは言い切れない差別や偏見の影響もあるのだろう。
失いつつあるそれらを、遡って、広めていくことは、
アイヌ民族のアイデンティティというより、
自分自身のアイデンティティのために、すごく大切なことなんだろうと思えた。
この映画が「ええなあ」と思ったのは、
そのアイヌの人たちの視点だけではなく、
同じように、ふるさとの言葉は喋れないけど、
文化を継承していこうと思う、在日韓国人の人の視点や、
青森生まれで、今は北海道ベースを持つ、奈良美智さんの視点や、
評論家の太田昌国さんの視点も取り入れてることだ。
そのおかげで、この映画は、単なるアイヌ映画ではなく、
いろんな違った文化的ルーツを持つ人たちが、
一箇所に住むために何が必要か、を、
教えてくれるような映画になってると思う。
少子化が進む日本がこれからやっていくためには、
どうしても違うルーツを持つ外国の人々の力も必要だろうし、
この映画が、教えてくれることは、
今後、ますます大切になっていくだろうと思う。
この映画は、そういう時代のてがかりになるのかもしれん、と感じた。
アイヌは自分たちを規定する民族を指す言葉ではなく、
「人間」という意味であることを初めて知った。
うまく説明できないけど、いい言葉だなあ、と思う。

