戦争は、必ず残されしものを生み出す。BBBムービー「摩文仁」。
公式サイト
クラウドファンデイングで協力させて頂いた映画が、
大阪で公開された。
すごくいい映画で、協力したことに胸を張れる気がした。
残されたものたちは、この戦争という化け物と、どう向き合うのか。
沖縄に数多くある慰霊碑の元祖と言うべき、
本当に身元のわからない人たちの遺骨や遺品の眠る
「魂魄之塔」の前で、戦後から花を売り続ける、おばあを中心に、
沖縄戦の「慰霊」を通じて、戦争犠牲者とその遺族のことを考える、
大きなスケールのドキュメンタリー映画だと思った。

ひめゆりの塔や、平和の礎は、もちろん知ってたし、
他にも、いくつか慰霊の碑があるのは知っていたけど、
これほどたくさんの慰霊碑があるとは知らなかった。
その中には、本当に亡くなった人のことを思う慰霊碑もあれば、
兵士や亡くなった人を英霊として、戦争を美化するものもあるようだ。
出演者の中には故大田昌秀、元沖縄県知事もいらっしゃった。
大田元知事は戦争中は「鉄血勤皇隊」に所属してて、
戦後、亡くなった同級生のために「健児の塔」を建てる。
ご遺族が、その名前を、日がな涙を流しながら撫でているのを見て、
「平和の礎」を作る決心をしたのだという。
すごくジーンとくる話だった。
平和の礎は、沖縄戦で亡くなったすべての人を慰霊する。
沖縄の民間人、軍人、そして敵兵だったアメリカ人も、等しく。
初めて、平和の礎に行った時、
そのことに感動した。
映画を観てると、この映画そのものが、
平和の礎と同じ思想で作られてる気がした。
立場や意見の違ういろんな人々を、
きちんと描いている。
もちろん、沖縄の民間人の犠牲者。
遺骨が見つかってない人たちは、
「魂魄之塔」に遺骨があるのだと信じて、
ウートートーする。
1万人以上、犠牲になったと言われているのに、
まだ平和の礎には463名の名前しか刻まれてない韓国人遺族は、
平和の礎の前でアイゴーする。
在沖米軍も慰霊を捧げる。
沖縄の基地に、沖縄戦で亡くなった軍人の名前を付けてるのは、
知らなかった。
「黎明の塔」の前で「海ゆかば」を熱唱する人たちの気持ちは、
どうしても理解できないし、理解したくもないけど、
彼らも、根っこでは、「こんな戦争は二度と起こしちゃいけない」と思ってる。
少なくとも、そこだけは、気持ちは通じてる。
ってとこに、少し希望を感じた。
この映画には、沖縄戦当時の司令官、牛島満さんのお孫さん、
海軍司令官の大田実のお孫さんも、出てらっしゃった。
同じく、沖縄戦で自決した軍人さんだけど、
かたや「最後の一人まで」との遺言を残し、
沖縄をさらなる地獄に向かわせた人物、
かたや「県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ」と、
戦後の沖縄を気遣った人物。
その二人が、それぞれに祖父の成したことに、真摯に向き合って
これからの世界のあるべき姿を考えてることにも、
なんか熱いもんが、喉を逆流する気がした。
牛島満さんのお孫さんは、映画「生きろ」で、知って、
その姿勢に感動したんやけど、
祖父を顕彰する「黎明の塔」には参拝しない、
筋の通った姿勢に、また感動してしまった。
花売りのおばあは、もう89歳(映画撮影当時)、
子どもさんや、お孫さん、ひ孫までもが、
おばあのやってきた花売りを、
引き継いでる姿にも、泣きそうになった。
何回、泣かすねん。
最後、全体を包む祈りのように響く寺尾紗穂さんの音楽も、
素晴らしかった。
この歌で、映画全体が、戦争で亡くなった人への祈りに
昇華した気がした。
上映後、監督の舞台挨拶があり、その後、
パンフレットへのサイン会があったのだが、
修学旅行で、戦争のことを、もっと知りたくなったという、
中学生くらいの男の子が、
監督に、キラキラしてる目で、話をしてたのを観て、
また涙が出そうになった。
繋がっている。
この思いは繋がっている。
そして、この映画が、そのつながる思いを、
さらに強くした。
この映画は、沖縄だけの映画ではない。
今も、世界のあちこちで、理不尽な国家同士の争いや内戦で、
肉親を失い、残された人々が、たくさんいる。
今日も、どこかで、そういう人が、増えているのかもしれない。
そんな人を、一人でも減らすために、
この映画は生まれたのだと思う。
大阪では、十三のシアターセブンで、8/1(金)まで。
その他、まだ全国で公開されるようなので、
気になった方は、ぜひ。
詳しくは、こちらでご確認ください。

