なんという不条理。これは国家の暴力だと思う。BBBムービー「蟻の兵隊」。
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こんな凄まじいまでの映画を観逃していたとは。
日本の敗戦後、中国で上官が国民党軍に捧げるようにして残された兵隊たち。
上官は自分が日本に安全に帰るために、部下たちを差し出したとしか思えない。
けど、ポツダム宣言受諾後の、この行為、
命令だとすると、宣言への違反行為になるため、
国は、自分の意思で残った、
脱走兵として彼らを扱い、補償すらしない。
「国は、国のためなら、個人を犠牲にすることを厭わない」
という見本のような出来事だ。
これを全く知らなかった自分にも、腹が立つ。

宮崎舜市さんの咆哮。
上官が国民党軍と取引する証拠を握る人物であったのに、
証言を握り潰された。
その悔しさが、ご家族も意識がないはずと言われた今際の際で、
奥村和一さんに会って、嗚咽のように飛び出す。
前半にある、そのシーンで、背筋が伸びた。
そのおかげで、ずっと緊張感を持って、観られた気がする。
奥村さんは、激昂すると、
その人に言っても仕方ないことでも言わずにはおれないようだ。
生き延びた中国の人のご子孫への「殺されるべきやった」と、
言わんばかりの激昂に、兵隊時代の面影を観て、怖くなった。
自分でも「自分の中に残ってた兵隊の部分が出てしまった」と
後で言ってて少しホッとした。
自分の過去、間違いなく大きな過ちをしたと思える過去と向き合うのは、
本当にキツく、勇気のいることなのだろう。
けど、それをして初めて、被害に遭った方達と向き合える。
日本兵や、同胞の国民党兵にすら犯された女性の、
彼を許す言葉に、観てるワシも許された気がした。
人間は、軍人になり、軍隊の一員になると、
個人の気持ちには、蓋をしてしまい、
残虐行為が平気になってしまうのか。
それをまざまざと見せつけられたことも怖かった。
変な言い方だけど、軍人がひとりの人間であるためにも、
戦争というのは、絶対にしてはいけないことなのだろうと思う。
人間としての、闘争本能を葬り去って、
戦争を過去のものにすることこそが、
人間の進化なのだと思う。
そして、その思い出したくないような、
自分自身の忌まわしい過去と向き合おうとしない人は、
往々にして後ろめたい態度を取ったりするのかもしれない。
靖国で小野田さんは、奥村さんに向かって、何か怒りながら叫んでいた。
よく聞き取れなかったけど、小野田さんの帰国後の行動から類推すると、
なにか自己弁護するような言葉だったのか。
小野田さんの言葉とか、他にも、スーパーが欲しいなあ、
と思う箇所は、いくつか、あったなあ。
あと、スーパーがあっても、バックの色に馴染んで、読めないとこも。
すごく残念だった。
ひとことも、聴き漏らさず、読み漏らさず、観たい映画だったのに。
靖国に参拝する、多分戦争には行ってない人の言葉、
「二度と戦争、、」から始まって、
「を、してはいけない」と続くのかと思ったら、
「に、負けない」と続いた。
驚いた。悲しかった。
負けたことだけが、問題だったと考える人が、
あんなにいるのか。
その人たちは、本当に、戦争で亡くなった軍人さんたちの気持ちを、
考えているのだろうか。

