この映画を「昔のこと」と考えてはいけない。BBBムービー「よみがえる声」。
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原爆、軍艦島、慰安婦、沖縄戦、、、。
それだけでも悲惨な物語ではあるが、
その影には、常に、その存在すらなかったかのように、
取り上げられなかった在日朝鮮人たちの、
出口のないような苦しみがあった。

軍国少女だった一人の在日朝鮮人「朴壽南(パク・スナム)」さんは、
自分に投げかけられた言われのない迫害をきっかけに、
差別という現実に立ち向かい、
戦後、焼肉屋の女主人、作家、映画監督と職業を変えて行くが、
その根底には、常に日々の暮らしに窮する在日朝鮮人の生活を、
少しでも何とかしたい、という気持ちがあったのだろう。
その彼女が、撮り貯めた映像が、
彼女の娘との共同作業で、映画という形になった。
これは、昔の話と片付けられる問題ではない。
今も続く苦難だからこそ、彼女が生きている間に、形にして、
今の時代に苦しむ人々に向けて、
その苦しみを知らない人たちに向けて、
公開することが大切なのだろうと思う。
民族の誇りを奪われ続けた在日の人たち。
この映画の中で「小松川事件」の加害少年と、
朴壽南さん、そして、被害者の少女の遺族の話が、
すごく印象に残った。
娘が何の罪もなく殺されたのに、
在日朝鮮人の置かれた行き場のない気持ちを考え、
減刑を願う遺族、
加害少年と連絡を取り続ける朴壽南さん。
遺族と朴壽南さんとのやり取り。
大丈夫なのだろうか?とヒヤヒヤしたりするのだが、
三者は最終的には、お互いを理解しあってたように思えた。
その三者の関係が、何か尊く思え、
事件を起こす前に、少年が、この二人に会えていれば、、
と思わずにはいられなかった。
いつ死刑が執行されるか、分からない状況でも、
彼が、自分のやってしまったことと向き合い、
民族の誇りを勉強したいと思ったことは、
何か、少し救われる気持ちになった。
少年は、恨みを抱いたままではなく、
朝鮮民族としての誇りを胸に、
死刑に向き合ったのだと思いたい。
すべてが、その差別のせいとは言えないかもしれないけど、
こんな悲劇の確率を上げてしまう、すべての排外主義、
すべての差別が、なくなる世の中に、
少しでも近づくことが、
ワシらに続く世代への責務なのではないか、と思う。
過去の苦しみの声は、よみがえり、
今の時代に「同じことを繰り返すな」と叫び続ける。

