悲しいけど、まだ「今の時代の映画」として、観るべき映画。BBBムービー「ブルーボーイ事件」。
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実際の事件があったことも、知らなかったので、
事件の詳細は映画を観て初めて知った。
「優生保護法」というそれ自体、歴史に名を残す天下の悪法が、
恣意的に悪用されて、こんな事件の犯罪性の根拠になっていたとは。
本当に、あってはならない法律やったんやなあ。

お芝居初挑戦の中川未悠さんの演技、
上手くはないんだろうけど、ひとつひとつのセリフが、
セリフではなく、中川さん自身の心の声に聴こえて、
どんどん映画の世界に入り込んでしまった。
最初は弁護士ですら、裁判に勝つことを第一に考え、
彼女たちの生きる意思を挫くような発言を法廷でしてしまう。
だけど、そこからの彼女たちの真摯な生き方に気づき、
弁護士が変わって行く過程が、丁寧に描かれていて、素晴らしかった。
あの検察官の無礼で基本的人権を汚しまくってるような発言、
「60年前だから」と思っては、いかんのだろうな。
今の時代も、SNSには、あの検察官と少しも変わらないような発言が、
ゴロゴロ、転がっている。
だからこそ、あの弁護士の考えの変容を、
つぶさに描くことに大きな意味があるのだろうと思う。
多くの人が当たり前と思ってることを変えて行くのは、
あれだけの気づきの過程が必要なのだ。
彼女たちの立場をおもんばかろうとする弁護士ですら、
あれだけの過程が必要だった。
普段、そういうことに興味なく生きてる人たちの、
当たり前を覆すことが、どれだけ大変なことなのか、
まざまざと教えられた気がした。
それは性的マイノリティの話だけではなく、
国籍や障害、すべてのマイノリティに通じることなのだろう。
「言論の自由」を言い訳に、多くのヘイトが飛び交う世の中、
「基本的人権は、言論の自由をも超える、根本的な原理なのだ」と
いうことを、はっきりさせなければいけないのだと思う。
奇しくも先日、東京高裁で、同性婚を認めない判決が出た。
まだまだこの映画は「昔話」ではなく、
今の時代のこととして、観られるべき映画なのだと思う。
悲しいことながら。

