物語なんて、入る隙もない。剥き出しの戦争は、これほど悲惨なのだ。BBBムービー「ウォーフェア 戦地最前線」。

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強烈すぎるくらい、強烈な戦争映画だった。
涙が流れるような物語も、ドラマチックな展開も、何もない。
ただ、見も知らぬ同士の、凄惨な殺し合いだけが、そこにある。
それこそが、戦争なのだ。

さすがA24、今まで観た戦争映画のどれにも似てなくて、
どれよりも恐ろしかった。
その恐ろしさは、ホラーとかの物語としての恐ろしさではなく、
戦争そのものの恐ろしさに他ならない。

ほんの数時間の戦闘を、実際の兵士に聞いて、
本当に在ったことだけを、こと細かに描写した映画。
もうドキュメンタリーかと思うようなリアリティなのだが、
これがドキュメンタリーやと、カメラマンが気の毒すぎる。

戦闘が始まるまでの緊張感が凄くて、
「もういっそのこと、始まってくれ!」と思うほどなのだけど、
始まるとやはり、それ以上の種類の違う緊張感と、
それまでにはなかった恐怖までもが襲ってきて、
胃がキリキリ痛み、頭痛までしてきて、
エグいシーンの苦手なワシは、何度か目を瞑り、
爆発音で、誇張ではなく、ほんまに飛び上がるのだった。

変な言い方になるが、
ボタンひとつで敵を殺すミサイルや、
ドローン爆撃みたいに、手を汚さない戦争よりは、
勝つものも、負けるものも、それぞれが恐怖を味わって、
戦争への嫌悪感を感じる、こういう肉弾戦の方が、
まだマシなのかもしれないと、思ったりもした。
もちろん、しないことに越したことはないのだが。

別に米兵を応援してる訳でもないけど、
とりあえず、今、画面でワシの観てる人に、
死んでほしくない、という祈るような気持ちだけは、
強烈に感じるのであった。
西部劇ではないので、米兵も、敵と同じように血を流し、
命の危険に晒される。
もし、敵側にカメラが回ってたら、
きっと同じように、敵兵に死んでほしくないと思うのだろう。

本当に、こんな戦闘に何の意味があるのか、
敵より多く、殺せば、平和になるとでも言うのか。
こんな闘いにひとつしかない命をかける愚かしさを、
感じずにはいられない。

どんな映画よりも、戦争の愚かさを感じる映画だった。

先日の選挙に関して少しだけ言っておくと、
「戦争なんて、みんな反対してる。
戦争しないために、軍事力を増強するのだ」と言う人もいるけど、
どんな政権でも、ナチスですら当初は「戦争やります!」とは 言わなかった。
「戦争反対」と口にしながら、じわりじわりと戦争に近づいていくのが、
戦争前の社会の姿だ。
しかし、その先には、こんな恐怖と悲惨に溢れた現実が待ち構えてて、
敵だけでなく、同胞が次々と死んでいく。
「国を守る」と言いつつ、その礎の国民を死に追いやるのが戦争なのだと、
この映画は、無言で教えてくれる。

ここまでリアルに戦争を描き切ったA24、やっぱりすげえ。
既存の映画の枠を壊し続けるA24、
これからもA24の映画から目が離せない。

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