ある意味、台湾を象徴する人だと思う。BBBムービー「湯徳章ー私は誰なのかー」
ここにも国家と国家の争いに翻弄された名もなき人がいた。
湯徳章、坂井徳章、坂井徳蔵、湯新、一生のうち、
何度も名前を変えた、変えざるを得なかったことが、
彼の人生を象徴する。

日本人の警官の父と台湾の母を持ち、戦前に生まれ、
戦後の中華民国で、その生涯を終える。
台湾生まれ、台湾育ちでありながら、父を抗日運動の中で父を失い、
国民党の支配する時代では、その日本人の血、故に、悲劇に遭う。
けど、その中で彼の真っすぐさは、少しも怯むことがなかった。
少なくとも、映画の中では。
間違ってると思うことは、学校を退学になっても貫き通す。
正義感のある気持ちのいい男だった。
国民党支配に対する抗議蜂起二・二八事件でも、
学生が政府側の国民革命軍に虐殺することを防いだ。
しかし、そのことで逮捕されて、見せしめのように公開銃殺された。
今は名誉回復され、台南の町に胸像が建てられたり、
名前を冠する公園や道路ができているらしい。
なのに、台湾どころか、地元台南の人にも、どんな人か、
あまり知られてないらしい。
映画は、その人物像を明らかにしようと、
丁寧な取材を続け、彼の義理の息子に行き当たる。
なんだかこの辺はミステリーを観てるみたいにドキドキした。
元から台湾にいる人々、
そして統治者として外からやって来た日本、国民党、
その間で、アイデンティティを揺らしながらも、
命を懸けて台湾人としての信念を貫いた、
ある意味、台湾を象徴するような人やったんやなあ。
彼が40歳の若さで、悲劇的な最期を遂げたことは、涙しか出ないが、
その後、名誉回復をできたことに、
民需化を成し遂げた今の台湾の社会の健全さを感じた。
しかし、40歳、立ったの40年の人生で、
あれだけ、記憶に残るようなことができるものなのか。
こういう人が、いたことを知れて良かった。
この人には、到底及ばないけど、
ワシも、自分の中で貫き通すものを、
大切にしていこうと思う。

