「何にも起こらない」そのことがテーマの斬新な映画。BBBムービー「オーロラの涙」。
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毎日毎日を、物流商品のピックアップという、
単純で、賃金も安そうな仕事で費やす。
プライベートにも、熱中するものはない。
人との関わりを避けるように、スマホに逃げる。
ある意味、まるでスマホの奴隷のような日々が繰り返される。
何事も起こらない日々。
いや、彼女が起こさなかったのかもしれない。
何度か小さなチャンスはあったのに。
スマホばかり見てたので、
そのチャンスに気づかなかったのかもしれない。

こんなに何事も起こらない映画は、他にもあるかもしれないけど、
その「何事も起こらない」こと自体が、
テーマになってる映画って、他にはなかった気がする。
ある意味、斬新。
語るべきことが何もない人生。
その人生に起きた、ほんの小さな事件。
本当に取るに足らない事件だったのに、
何事も起こらない毎日を生きて来た彼女にとっては、
大事件だったのだろう。
それ以降も、人から見たら、
彼女には、なんの変化もなく見えただろうけど、
彼女の中では不可逆的とも言える変化が、
起きていたのかもしれない。
彼女も気づかないうちに。
そのことに、彼女は、あの時気づいたのだろう。
思わず出て来た言葉。くだらない冗談。
前に同じ言葉を聞いたことを思い出したのだろう。
その言葉を残した人の行く末も。
ギリギリ、彼女は踏みとどまった。
何が、あの人と彼女を分けたのかは分からない。
だけど、彼女は、踏みとどまり、
ほんの少しだけかもしれないけど、歩み出した。
ぼんやり観てたら、観逃してしまい、
「なんにもない映画だったな」と思ってしまうかもしれない。
だけど、そのほんの少しの変化に気づくと、
何か、この映画の見え方が180度、変わってしまう気がした。
正直、観てるのが辛くなるくらい退屈な映画だったけど、
その変化に気づけて良かった。
この映画を観て良かった、と思った。
あの小さな希望の光の美しさにも気づけたのだから。

