出会い、再会。奄美・名瀬、マヤスコ。

ドキドキしながらライブ会場に入って、
受付して、ワンドリンクを注文する。
その間ずっと気になってたのは、
カウンターに座ってる男性。
見たことある。もしかして?
いやいや、福島の人がなんで奄美に?
こわごわ声かける。
「ミーワムーラのムラさんですよね」
「あ!そーです」
やっぱり!

去年、橋の下でマルチーズロックのホールズさんに
「絶対観たほうがいい」と言われて観て、
今年2月の那覇アサイラムでも観て、
好きになったミーワムーラの方だった!
お互い福島と大阪に住んでるのに、
会ったのは豊田と那覇と奄美。
不思議な関係だ。
でも話を聞くと来月、橋の下でトヨタに来る前、
大阪のムジカでライブするらしい。
しかも良元優作さんと!
しばらく優作さんの話で盛り上がる。
いやー、奄美で優作さんの話するとは思わなかったー!

そのあと、盛島貴男さんに、橋の下で観たことを言うと、
すげー喜んでくれて、いろいろお話して頂いた。
始まる前から、興奮してしまった。

ライブは今回、いろいろと情報を教えてもらったり、
今日の予約をお願いしたUTOTOさんから。
橋の下では三線を弾いてるとこしか観てない気がするが、
今日はギターだ。
柔らかいギターに、奄美独特の繊細な女唄。
これはかなり気持ちいい。
名前そのまま、ウトウトしそうになる。
なんとなく、元ちとせさんのことを思う。
日本のポップスにとって異質ではあるんだけど、
気持ちよく受け入れられるゾーンに
奄美の島唄はあるんじゃないか、
だから元ちとせさんや中孝介さんは、
奄美の核を持ちながら、
一般にもあれほど受け入れられたんじゃないか。
UTOTOさんを聴きながら、
そんなことを思った。

次にムラさん。
実はワシと同学年。
ギター歴40年なのに、
昨日のライブで初めてボーカルデビューしたらしい。
けど、堂々としたもんだった。
ダミ声っぽい低音で、ブルージー。
短絡的かもしれんが、東北の男性には、
こういう低音のかっこいい人が多い気がする。
ギターはもちろん、あのホールズさんが、
認めるかっこよさだ。
余談だがミーワムーラはギター二人組なのだが、
橋の下のとき、やはりギターのホールズさんが飛び入りした。
同じ楽器の飛び入り、
あまりないと思うんだけど、
ホールズさん、どうしても参加したかったんだろう。
ムラさん、ムジカでもボーカル聴かせてくださいね。
動画は、ムラさんのソロと、
ミワさんがムラさんのこと歌った「お師匠さん」。

次に鈴木亜紀さん。
前々から知ってて聴きたいと思ってたんだけど、
生で聴くのは初めて。
初めてが奄美とは!
これはこれで奇縁だなー。
ちょっと小洒落たジャズがベースな感じだが、
歌詞がすごく面白い。
日常の小さなことを、おしゃまな言い回しで、
かわいらしく、いたずらっぽく歌っていく。
メロディーも歌詞もセンスがいいんだなー。

亜紀さん、奄美竪琴も弾かれる。
亜紀さんも、里国隆さんで奄美竪琴を知り、
その関係で盛島さんと繋がったそうだ。
けど、乗せるメロディーや歌詞が、
盛島さんと全然違うので、
奄美竪琴も、別の楽器のように聴こえる。
盛島さんの音楽に引きづられ過ぎずに、
この楽器を自分のものにしてはるってことなんやろなー。
亜紀さんも夏にふちふなさんとムジカでやるらしい。
奄美に来てるのに、ムジカの話を聞くこと聞くこと。
動画は、早川岳晴さんとの渋い共演を。

そしてトリは、奄美のスーパースター盛島貴男!
いつもの白シャツ一枚。
安上がりなスーパースターだ(笑)
しかし内容はむちゃくちゃ濃い。
歌で綴る幕末以降の日本史だ。
奄美の黒糖が薩摩藩の資金源になり、
明治維新の資金面を支えたことなどのMCを交えつつ、
田原坂など、近現代の日本のポイントになった事件をモチーフにした歌を続けていく。

流麗な奄美竪琴の音に乗る、
ホーミーかと思うほどの低音ダミ声。
盛島さんは里国隆さんの系譜をきちんと受け継ぎながら、
里さんとは違う盛島節を築き上げている。
お見事としか言いようがない。
けど、それだけじゃない。
お茶目な盛島さん、
「あ!喉が枯れた!」と歌を途中でやめたりもする。
もちろん、それもエンターテイメントの一部なんだろうけど、
演奏する人、観る人が未分化な奄美ならではの演出なんだろうという気がした。
「昨日今日のたった2日でわかったような口きくな」
と言われそうだけど、
ワシが感じたのは、
奄美の唄は、やり手、聴き手が、
明確には分かれてなく、
誰かが歌えば、誰かが伴奏をする、
女が歌えば、男が応える。
聴きたいだけの人はその輪の中にいながら、
じっと聴いている。
そんな宴席での座興みたいなんがベースにあるんやないか、
と思ったのであった。

しかし、考えてみれば、歌が職業として成り立つ前は、こういうものではなかったのか。
例外は神に捧げる歌、儀式としての歌だが、
こと大衆音楽に関しては、こういう形の方が、
自然な気がした。
こういうことを感じられただけでも奄美に来た甲斐があったと思う。

最後は、出演者全員ステージに上がり、
ちょっと酔って忘れてしまったが、
漁師歌みたいなのをやった。
盛島おじいは、竪琴を置き、
手拍子しながら歌う。
ステージ、客席、向き合ってるが、
やってることは客と一緒。
これが盛島おじいにとって、
自然な歌の遊びなのだろう。

素晴らしい!とともに、
いろいろ感じさせてくれるライブであった。

昔から少し思ってた「西南諸島の音楽を題材に、
民俗学的研究をしてみたい」という気持ちが、
少し大きくなった夜であった。

やはりCDで聴いてるだけでは音楽は分からない。
その音楽の生まれて来た現場を感じなければ。
ライブがそれを完全に補完するものてまはないかもしれないが、
現場の匂いは、感じられる。
音楽だけを切り離したCDやダウンロードにも、価値はあるが、
本来の音楽とは別のものだと考えるべきではないか。

あ、ちょっと真面目になり過ぎた。
盛島おじい、UTOTOさん、
また橋の下で!
ムラさんは、橋の下とムジカで!
亜紀さんも、次はムジカで!

コメント欄盛り上がる。
(20240410記)

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