ナカヒラミキヒトvsナオユキ＠くれは中島酒店。

昨日、京都の立ち飲み「たつみ」が盆休みだったから、
…と言うわけやないけど、夜、十三の立ち飲みの名店
「くれは中島酒店」へ。

ナカヒラミキヒトさんとナオユキさんのライブがあったのだ。
ナオユキさんに、こんなに似合いそうで、
何回もやってはる店やのに、
一回も、ここでナオユキさん観たことなくて、
ナカヒラさんにも合いそうな店やけど、
ナカヒラさんにとっては初めての中島酒店てことで、
意地でも来てみたいライブやったのだ。
この酒場の、あちこちから
歌が染み出してくるような風情がすごいええから、
ここと、あの二人が組み合わさったら、
どんなライブが生まれるのか、楽しみで仕方なかったのだ。

まずはナカヒラさん。
リゾネーターギターの金属質やけど、
いなたいボトルネック混じりの音と、
男前の顔からは意表をつくような
悪魔のようなしゃがれ声は、
いきなり中島酒店に馴染んでいた。
「オーシャンゼリゼ」や「フライミートゥーザムーン」などの
スタンダードが、ちょっと聴くだけでは
その曲とわからんくらいに
ナカヒラ節になって出てくる。
それは路地裏の残飯や、ゲロや、
インチキや、憎悪にまみれているのに、なぜか美しい。
蓮の花や悪の華を思い出させるような美しさ。

おおお浅川マキの「かもめ」。
ナカヒラさんの声に合う選曲やなあ！

ナカヒラさんの音楽は、リゾネーターギター、しゃがれ声、選曲と、
要素的には無頼なムードを満たしているが、
それらの要素で、無頼な世界を構成するため、
わりと冷静にコントロールしてるようにも思える。
まだ3回しかライブ観てないのだが、
毎回安定したライブしてはるように思うのは、
そのあたりから来るものかもしれん。

その計算が出来るってのは、
ミュージシャンとしてもちろん素晴らしいのだけど、
羽目外して自分でもどこに行くかわからんようなライブも
いつか観てみたいなあ、とも思ってしまったりする。
それだけナカヒラさんのポテンシャルに
興味があるってことなんやろな。

おお！意外にもテレサ・テンの「償い」。
やっぱり観客も意外だったようで、
少しドヨメキが起こる。
いやいや、これもクオリティ高いわあ。
自分の歌にする力は、ほんまにすごい。
自分の世界がしっかり出来上がってはるんやなあ。

ラストは「ボロボロ」。これはオリジナルかな？
わりと朗々と歌い上げるこの歌、
音を伸ばすとこに倍音が混じってる気がした。
ナカヒラさん、ただ歌ってるのに、
その声にホーミーのような
口琴のような音が混じってる気がするのだ。