大阪、川視点。

昨日のギターパンダ・オン・ザ・ボート、なかなか貴重な体験だった。
まず、水門の存在に驚く。
大阪市内でも微妙に水位は異なるようで、水門の下流を塞き止め、上流も止めて、
水位を合わせてから、信号が青になるんだと思うんだけど、
その関所関所に関連施設があって、係りの方がいてはる。
大阪って町が動いていくために、こういう知らない人が知らないところで
役割を果たしてるんだなあ、と気がついた。
日本橋のところで、左車線(左船線?)右車線が入れ替わるのも、
意味は分からなかったけど、おもろかった。

天気のいい休日に、細い川を通りながらライブをしてるので、
橋の上から川沿いのマンションから店から、たくさんの人が振り向く。
振り向くだけでなく、手を振ってくれる。
ギターパンダさんが「周りの人に手を振ってくださいね~」と頼んだので、
こちらから手を振ってるからでもあるが、
近くに座ってた名古屋の方が「さすが大阪。ほとんどの人が振り返してくれる」
と、驚いてた。
なんだか、大阪を誇らしく思った。
最初は手を振るの、少し恥ずかしかったんだが、だんだん、甲子園で優勝でもして
パレードやってるような気分になって、あっち見たり、こっち見たり、
皆さんにご挨拶しなきゃ、って気分になってきた。
道頓堀、戎橋、中之島公園、大阪城公園のあたりは、
まさにパレード!ライブよりそっちがメインのような気がした。

そして大阪は驚く程多くの人が川を見ながら暮らしたり、
お店をやったり、休日の時間を過ごしたりしてるんだなあ、と感心した。
決して美しくはない川べりで、釣りをしながら手を振ってくれるおじいさん、
スケボーやダンスしながら音楽に合わせて、動いてくれる少年たち、
リフレインをすぐに覚えて手拍子しながら歌ってくれるおばさん、
超高級マンションのバルコニーからノリノリで踊りながら手を振ってくれる奥様、
公園で小型犬を持ち上げて、犬に手を振らせるおっちゃん、
ホンマにみんなノリがええ。
何をやってるのかわからない煤けた店の中からも、おじいさんが手を振ってくれてる。

一番不思議だったのは、本町近くの古いビル、
川に向けて「結婚相談所」の古いままの大きな看板。
その相談所がまだやってるのかどうかもわからないし、
その商売が成り立つこと自体疑問だし、
第一、川に向けて言って、どうするんだろう。
近くに船を止める施設も見当たらないのに。
その建物の小さな窓から赤ちゃんを抱いたお母さんが手を振っていた。
なんだかその人生を想像すると、宮本輝さんの小説のような話ができるのではないか、
と思った。

そして、普段はそれほど意識しない、というか、橋であることも気づかないまま、
渡っている橋の一つ一つが、それぞれに意匠を凝らしたデザインをしてることにも感心した。
その橋をくぐるとき、急に音が変わったり、
橋の下では影になってたギターパンダさんが、橋をくぐり終わると、
サッと陽が当たって、表情が見えたりするのが、
楽しくて楽しくて、「終わって欲しくない!」とずっと思っていた。

昨日の主催者、さわさんがワシのface bookの文章を
ブログに取り上げてくれました。
嬉しい〜〜!
そうです、ワシは乗船番号65番。
チケットも65番までしか作ってなかったらしいです。
きっちり定員通りの客を集めるさわさんの手腕もすごいです。
ワシはもちろん、最後に乗船した客でした。

昨日の朝、土曜の雨がウソのように晴れて、
雨に洗い流されてすごく空気がきれいで
「家にいるのがもったいないな」と思うまで、
イベントのことすっかり忘れていたのでした。
思い出せて本当に良かった。

書き忘れてたことをひとつ。
ライブが終わって船を降りた後、
しばらく一人でビール飲んだりしてたんですが、
そのとき、ずっと頭に流れていたのは、この歌でした。
♪〜川なんか見たことないのに 
渡っているよと橋を行く橋なんか用がないから
  今日もここで二人だけお花が咲けば元気になるよ
明日も来るね 橋の下
なんにもないけど橋の下〜
♪ローザ・ルクセンブルグの「橋の下」、大好きな曲です。
(20130514追記)。

この文章をFacebookに載せた時のリアクションが
とても興味深かったので、リンクしておきます。
(20220513記)

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