My Favorite (Do The Right) Thing。

ワシと、付き合いが長い人なら、着てた見覚えあるかもしれん。
20代の頃、ブルックリンで買った、
スパイク・リー監督の映画「Do The Right Thing」のジャンパー。

当時の日本円で2万円くらいだったと記憶するが、
見た瞬間に、好きになって、欲しくなった。
その頃の(今でも)ワシには、2万円は大金で、迷ってたが、
一緒に行ったサトチンが
「そんなに好きになったら、買うべきです。
もう二度と会えないかもしれんじゃないですか」
と言ってくれて、背中押されて買った。

それから、ずっと一緒に冬を過ごした。
けど、やはり20年くらい経つと、経年劣化には耐えられず、
両肩の布地のとこが破れたり、袖のとこが割れたりしてきた。

「お別れの時かな?」とも思ったが、付き合って、20数年。
これ以上に気にいるジャンパーに、会える自信ないし、
会えても、同じだけの時間過ごせるかどうか、分からない。

「直そう」と思って、いろいろ尋ねたが、これ!とゆーとこがなくて、
昨年は初めて、ワンシーズン、こいつを着ない冬を過ごした。

今年、会社辞めて、時間ができたとき、
会社員だった時代にやれなかったことを洗い出した。
その中で、かなり上位に来たのが、こいつの修理だった。

「どーにかならんもんか?」とFacebookで知恵を募ると、
ナオユキさんが応えてくれた。
それから、いろいろ経由はしたが、
ナオユキさんに教えてもらったルート経由で、
革もんも直せる店に辿り着き、お願いすることになった。

袖のリムの直しは、難しくないようだ。
袖が少し短くなるらしいが、
今まで長すぎるくらいだったので、むしろ好都合だ。

肩の布地も直せるけど、
ここは個人の好みなんで、自分で買ってこいと言われた。
なるほどなー、と思って、紹介された布地屋に行って、
元の生地に近いものを探した。

近いのはあるけど、どれを見ても、元のよりは劣る。
一時間くらい、布地を触りながら悩んだけど、「これでええ」サインが、
ワシの頭の中から、どうしても出なかった。

ふと「そーか!前のを理想にしてると、
そこが100点で、絶対100点にはならん。違うこと考えよう」と思った。

一時間も見て回ったので、色合いは、やはり元と近い、
オレンジ系しかないな、と思って、その色合いで、
ワシの好きな和柄のものを探した。
店の隅から隅まで、何度も。
きっと店の人は「なんなん?」思ってたやろな。

枯れるくらい、想像力働かせて、このジャンパーの肩に、
この模様が乗るイメージ、シミュレーションして、布地を決める。

それを持って、修理屋に行くと、親父、ひと目見るなり、
「これ!合わんですわ!スカジャンに和柄って!!」
とまくし立てる。
ちょっと怯んだが、もうこれしかない!と思ってたんで、
「合わなくても文句言わんから、これでお願いします!」とねじ込んだ。

親父「責任持ちませんからね」と言いつつ、承諾。
元は2万くらいやったはずなのに、修理費に3万以上かかった。

けど、袖のリムは新品のようやし、
柄のチグハグさが、すごく気に入ってる。
親父、文句言いつつ、ポケットのとこまで、
きちんと、新しい布に変えてくれてた。
ごたくのうるさい親父だが、腕は確かだった。

後日、ヤフオクを見てると、これのオリジナル商品が、5万で、出てた。
ほほう。とは思ったが、実はどーでもええ。

自分が気に入って着てるときに、その値段は気にならんしなあ。
敢えて言うと、2万くらいで買って、3万くらいかけて、修理したんで、
計5万くらいは金払ってるけど、おおかた30年に近い付き合い考えれば、
年二千円にもならん。
まあ、金額換算とかは、ほんまにどーでもええことではある。

一年、着られん年があったのに、
今、この冬、こいつと毎日のように出かけられるのが、
嬉しくてしゃーない。

もし、またくたびれて、着れんようになったら、
今度は、ワンシーズン待たず、すぐ直すから、
一生お付き合い、よろしくお願いします。

※取り除いた元の生地やリム、親父が渡してくれた。
ここ数日の大掃除で、使う当てのない物は、全部捨てることにしたが、
この元生地やリムだけは、捨てる気になれず、
絶対に使うことはないだろうが、
クローゼットの隅に置いておくことにした。

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