山村暮鳥のうた&良元優作@アオツキ。

さて、和歌山から大阪着いて向かった先は、
堀江の「喫茶アオツキ」。
以前、京都元田中のザンパノで観た
「山村暮鳥のうた」が印象的で忘れられなかったので、
道迷いながら、聴きに来たのだ。
初めての場所やないのに、毎回迷う。

今回は、「ホントウタ」という本屋巡りツアーの一貫。
アオツキさんは今でこそ喫茶中心だが、
昔は、アオツキ書房という名で、
古本、CD・レコードの販売を主にしていたのだ。
今でも、ええCDとか置いてあって、販売もしてはる。
そこで、良元優作さんと対バンだったのだ。
気になってる「山村暮鳥のうた」と良元優作さんが対バンで、
ワシが行かないわけには、いかんやろう。

最初にゆーとくと、このライブ、最後とんでもないことになる。
ワシは震えが止まらないような状態になってしまった。
まあ、それは後ほど詳しく語るとして、
まずは、順を追ってレポートして行こう。

山村暮鳥のうた」は、大正時代の詩人、
山村暮鳥の詩に、曲をつけて演奏する
大野慎矢さんのユニットでメンバーは都度都度変わるらしい。
今回は、こないだ、のろしレコードのツアーでも
ライブ観せていただいたコントラバスの宮坂洋生さんと
大阪に来てくれはった。

一曲目の「かなへび」から詩が面白くて、
引き込まれてしまう。
メロディーは朴訥としてて、
枯れた味わいがあって、めっちゃいい!
大野さんのアコーディオンも、
寡黙にして雄弁な感じ。
宮坂さんのコントラバスは、
ひとつひとつの音に全部、意味があって、
それを丁寧に弾いてはる、という印象。
最低限の音で、こじんまりはしてるけど、
広さや深さを感じる音で、
展開が読めない感じも面白い。

二人でインプロビゼーションやる部分があった。
どんどん研ぎ澄まされて行って、
怖いくらいだった。
凍てつくような緊張感のある演奏だった。

「薄暮の祈り」も、その緊張感そのままで、
訥々と歌われ、あふれるような哀しみに、
巻き込まれそうになる。

美しいほどに、切り立った演奏なのに、
大野さんのMCは、リズムが独特で、
歌同様、朴訥としてるのに、
こっちはなんとなく笑えてしまうなあ。

ラストの曲は山村暮鳥にとっても、
死後に発表された最後の詩集から「雲」。
詩としては、これが一番有名かもしれんなあ。
この曲は美しく、広く、キラキラしていた。
大野さんのピアノと、宮坂さんのコントラバスの
絡みだけでも、飯が喰えそうなくらい、
シンプルで豊かで美しい演奏だった。

さて、良元優作さん。
喫茶アオツキの音は、ちょっと柔らかくて、
小さい音でもはっきり聴こえて、
気持ち良く聴いてられるなあ。好きやなあ。

「マイホーム」、聴くの久しぶりかもしれない。
しかも日本語歌詞あり、韓国語歌詞ありの
フルバージョンやないか!
これは、ほんまに久しぶりやと思う。
晴れた日のポカンとした午後の光景が浮かぶ。
人は一人もいない。
なのに、締め付けられるほど哀しい。
そんな気のする演奏だった。
この歌には、個人的に思い入れがあるので、
聴けたことだけで嬉しいのに、
こんなに孤独感のある名演を聴かせてもらえて、
ほんまに揺さぶられてしまった。

https://youtu.be/hngrE9jZT6o

「キムおじさん」も、すげえ良い演奏!
ここは、こういうしんみりと
温かい歌が似合う音の環境なんかもしれん。
「山村暮鳥のうた」から、ええ風が吹いてるのも、
あるんかもしれんなあ。

「春の虹」もディテールの一音一音まで、
くっきり聴こえて、ええ気持ち。
良元さんも、ギターをすごく丁寧に
弾いてる感じがする。

「たんぽぽと太陽」もすっかり
良元優作スタンダード入りしたなあ。
小気味いいリズムで、気持ちが
晴れやかになるええ曲ですわー。

優作さん、最近パンク系とかロック系の人との
対バンが多かったらしく、
今日のタイプの違う対バンを、
とても楽しんではる気がした。
やっぱり音の響きの良さも意識してるみたいで、
その響きの生きる歌をやってくれる。
「水滴」もええ響きしてた!

おお珍しい!童謡の「赤とんぼ」!
優作さんがやるの、初めて聴くと思う。
ああ、優作さんの声が、だいだい色に染まってゆく。
美しくて、哀しくて、「赤とんぼって、こんな歌だっけ?」
と、記憶が覆るような不思議な感じに包まれた。

「月と金星」、この音環境なら
この曲が聴きたいなあと思ってたので、嬉しい。
期待を上回る演奏で大満足!!

「ペンノレ」の始まりも今日はちょっと切ない感じで。
途中展開部分からの熱量!
ほんまに荒波を漕ぐ船のようや。
ギターの圧がすごい!なのに美しい!
これも名演やなあ。

ピアノに移って「ゆうれい」。
ああ音の清らかなこと!
客席から音がひとつも立たない。
この音をみんな聴き逃したくないのだろう。
音のひとつひとつが、声のひとつひとつが、
宝石のように、心に積もっていくようだった。

同じくピアノで「I wish I know how」。
ああ!このリズムが気持ちいい!
ああ!楽しい!!

そして、ここからが事件が始まる。
「山村暮鳥のうた」と優作さんのコラボだ。
どんなことになるのか、ワクワクする!!
優作さんの「平気な顔」が始まる。
ほほう!こんな風に膨らむのか!
めっちゃいい!
優作さんはメロディーを歌い、
同じ詩を大野さんが朗読する。
これもちょっと面白い趣向やな。
すごく新鮮!
3人とも楽しそう!

続いて、中原中也の「頑是ない歌」。
久しぶりやなー。
最初は良元さんがひとりで。
そこにベースが入った瞬間、
ビビッと電気が走ったような気がした。
そしてピアノが入って、さらに!ブルっと震えが来た。
なんか、ライ・クーダーのパリテキサスみたいに、
音数が少なく、隙間がたくさんあるのに、
奥行きのある、豊かな音、
贅沢な時間と空間の使い方してる、
と、訳もなく思った。
これはすごい!!
この3人の組み合わせは、もはや事件かもしれない。
すごい化学反応や。

アンコールの「山村暮鳥のうた」の「青空よ」が
さらに、物凄かった。もう圧巻!
一曲で2時間の映画観たくらいの
濃い内容やったと思う。
聴いてる間中、ドキドキしていた。
こんな優作さん、観たことない!
目を見開いて、聴いていた。
振り返るとさわちゃん同じような顔をしていた。
二人でうなずき「すごいな」と小声で言う。

終演後、みんなで「あと2〜3曲、3人の演奏を観たかった」
と言い合った。
今でも、思い出すと、興奮で、胸の奥に火が灯る気がする。
ぜひ、この3人で、初めっから最後までやる
ワンマンライブを観たい。
優作さんの歌、「山村暮鳥のうた」の曲、
取り混ぜて、2時間ぶっ通しで聴き続けたい。
年末にすごいライブに出逢ってしまった。
旅行帰りだったが、行って、本当に良かった。
行かなければ、ずっと後悔することになっていたと確信できる。

おまけで、大野さんが、ロケット・マツさんとやってる
ママクリオの曲を。
これも、素晴らしいです!

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