夭折の天才アーティスト「高橋大雅」さんの残したもの。

今日は、一日京都を歩いたり、映画観たりしてたのだが、
そのうちの最も印象的な場所を忘れないうちに書いておこうと思う。

祇園、花見小路から少し入った路地に面した品のいい町屋、
高橋大雅さんの頭文字を取った総合芸術空間「T.T」。

高橋大雅さんはニューヨークを中心に「タイガ・タカハシ」という
ファッションブランドを展開されているらしいのだが、
惜しくも、昨年4月9日、27歳の若さで急逝された。

しかし、その短い生涯で「よくもこれだけ」と驚くことを成し遂げられている。
この「T.T」は、その大雅さんの美のエッセンスが凝縮されたような空間だった。

大雅さん、若いファッションブランドの創設者と言っても、
今時の浮かれたようなファッションではなく、
10代の頃から数千着にのぼる100年以上前の洋服を収集して、
その考察から、時代に流されない、時間で廃れることのない、
普遍的なファッションを追求されたようである。

ファッション音痴のワシなので、その素晴らしさの片鱗しかわかってないかもしれないが、
確かにオーソドックスな中に、時間を超越した美しさがあるように感じた。
奄美の「泥染」を使ったベルトなどもあって、
「そこからなら、ワシも少し食いつける」と思ってしまった。

しかも、大雅さん、その才能はファッションだけにとどまらず、
建築、彫刻、家具にまで及び、その審美眼は、器などにも向けられてたらしい。
ワシの年齢の半分以下の年月27年で、そこまでのことができるものなのか。

ここ「T.T」には、大雅さんがイサム・ノグチ日本財団理事長の石彫家、
故 和泉正敏さんと共に作った玄武岩の「無限門」などの彫刻作品も並べられている。

お店の人(ミュージアムのようでもあるので
学芸員さんと言った方がいいか)も、すごく親切で、
服を買うはずもなかろう、汚い格好したワシに、
丁寧に、にこやかに説明してくださった。
知らんまま「彫刻はちょっとイサム・ノグチの影響感じます」言ってみたら、
すごく嬉しそうに、イサム・ノグチ日本財団との関係を教えてくれた。

ここの2階は、「茶の湯」を大雅さんの芸術の一部として表現した
茶室「然美(さび)」があって、
和菓子と日本茶を楽しめるのだが、
完全予約制で、今日は入れなかった。
実は、ワシ、先日、今日の茶室を予約しようとしたのだが、
既に満席で予約できなかったのだ。
残念!と思って、空いてる再来週に予約した。
だったら、再来週、まとめて観ればよかったのだが、
せっかく京都に来るんやから早く観たかったのと、
再来週は、茶室での時間に集中したいので、
今日行ってみたわけである。
行って、本当に良かった。

ずっと付いて話してくださった方が、
大雅さんが集めたヴィンテージ・コレクションが、
HOSOO GALLERYで展示中だと教えてくれた。
場所を聞くと、次に行こうと思ってた映画館のすぐ近く。
しかもワシはその時、
「ちょっと映画まで、時間空くからお茶でも飲もうかな」と思ってたのだった。
こんな渡りに船は、なかなかない。
早速、お邪魔した。

HOSOO GALLERYは烏丸姉小路を西に入ったNHKの向かいにあった。
「こんなええとこ、なんで今まで知らんかったんやろ」と口惜しくなるギャラリーだった。

その二階に並べられたビンテージの洋服たちは、
揺るぎない美意識で統一された圧巻のコレクションであることは、
ワシにもわかった。

下の写真、左がヴィンテージもの、右がそれをベースに大雅さんが、作ったものらしい。

動画を観ると、大雅さん、
20世紀に入ってからの大量生産の既製服を否定するわけではなく、
ほぼ直線で作られたそれらの服と、
やはり直線を主に作られて、くたびれたら、分解して仕立て直せる着物との
共通点を見出してたらしい。
慧眼さが、もの凄い。

ワシのような凡物が1000年かけてもできそうにないことを、
27年という短い凝縮された時間で、成し遂げはったんやなあ、
とずいぶん年下ながら、感服いたし候ですわ。

再来週の然美、楽しみでならない。
変な流行病にかかって、
元気なのに自宅待機、てなことになりませんように!

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