さそうあきら「ミュジコフィリア」。
病床の徒然に、既読の漫画を読む。
未読だと次が知りたくなって
眠れなくなるので、既読のものにしたのだが、
チョイスが悪かった。
面白くて最後まで一気に読んでしまった。
何度か読んでるはずなのに、
新鮮な気持ちで味わってしまった。
さそうあきらさんの「ミュジコフィリア」。
京都芸大をモデルにしたと思われる大学を舞台にした
現代音楽がテーマの漫画なんだが、
大学の所在地は京都産業大学をモデルにしたのか
深泥池付近に設定されてるので、
出町柳やクラブメトロなど、馴染みのある風景が出て来る。
錦市場や将軍塚から眺める京都市内などが出て来るのも嬉しい。
物語は、ワシが積極的にはあまり関わってない現代音楽がモチーフなので、
知らないことも多く、勉強にもなる。
と言っても堅苦しいことは全然なく、
さそうさん独特のユーモアが散りばめられてるので、読みやすい。
メジャーシーンの音楽も出て来るが、
それを否定するのではなく、「別物」として扱う。
しかし最後には登場人物を通して
同じ次元のものとして昇華させようとしてるのだなーと思った。
最後には現代音楽も、何も関係なく、
音楽を人間の初期衝動に関わるものとして描き切ってるとこに、
ある種の清々しさも感じた。
これはさそうさんの物語に共通するものかもしれないなあ。
人間のいろんな感情や積み重ねて来た歴史を、
微分化して行って、最終的には原初に戻す。
どんなジャンルの話でも、その部分は共通してる気がする。
好きなシーンは、実在の人物、
世界的な現代音楽家、湯浅譲二さんが、
登場人物たちと一緒に、熊手を引っ張る音が楽しくて夢中になってる場面。
かわいらしくてユーモラスで、「音」に対する興味という点で、テーマにも重なるシーンだ。
やっぱり好きな漫画家だなあ。