上田温酒場。

野田阪神から商店街とは名ばかりの
9時には全部閉まってまうしょぼくれた通りを抜けると、
道はやせ細って、切り返ししないと車が曲がれないほどの路地になる。
上田温酒場は、そんな場所に70年佇んでいる。
ちがうよ。さかばではなく、「うえだおんしゅじょう」。
「温」は熱燗を出すから。
そんなことがネーミングのネタになる時代から何も変わらず、
小学校の向かいでおでんと練り物、あとは出来るものは作る、
というスタイルで、大阪の酔っ払いを相手にしている。

のれんごしに雨音が、塾帰りの小学生のカラカラ回る自転車の車輪の音が、
愚痴を呟きながら家路を急ぐサラリーマンの足音が聞こえる。
店はコの字型のカウンター、茶色くすすけた値段表。
深夜食堂そのまんまだ。
いつから同じ値段でやってるんだろう。
おでんはダシが染み込みきった深い味、
からしがつけ放題なんも嬉しい。
注文受けてからおでんだしにつけて仕上げをする
半熟玉子は玉子好き歴50年が初めて味わう旨さ。

何もかもが完璧に嬉しい。今まで知らなかったことを悲しみ、
この年で会えたことを喜ぶ。

上田温酒場。
まだ行ってない人がうらやましい。
初めて行くあの感動を味わえるのだから。

12年前、初めて行った、野田阪神の上田温酒場。
長い間、行ってないなあ。
また明るいうちにお邪魔したい。
(20230602記)

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