お彼岸の日の京都。

昨日、朝、七条大橋で母、姉と待ち合わせて、親父の墓参り。
今年、親父と同い年になることを報告。
親父の墓はワシの本籍地のすぐ近くにあるのだが、
寺の本堂の横、墓地の入口に「ここは観光寺院ではありません!」の看板。
前からあったのかな?初めて気がついた。
その寺は、安倍晴明家の子孫の菩提寺でもあり、
子孫の方々のお墓もあるらしいのだが、
最近のマニアは、こんなところにまで、やってくるのだな。

四条に戻り、母と姉と、高島屋の7階、「たん熊」で昼食。
最近、終活に余念のない母から、終活で見つかったいろんな
思い出深いもんを見せられて、穏やかなひとときを過ごす。
母と姉は枚方に住んでる。
祇園四条駅で、母と姉を見送り、
ワシは出町柳方面へ。

天気もいいので、葵公園は相当な人出だ。
みんな家にいるのに、飽き飽きしてるんやろう。
ワシは、葵公園を横目に京都バスに乗り込む。
30分ほど、揺られて、ついた先は、岩倉実相院。
前からきたかった寺だ。

京都というには、随分ひなびた風情の寺だが、門跡寺院である。
撮影不可だったが、なかなか立派な狩野派の襖絵を堪能。
ピカピカに磨いた床に木々が映る様子も美しかったが、これも撮影禁止。
桜、青葉、紅葉、それぞれの季節に来てみたいな、と思うほど、
見事な床だった。
ご覧になりたい方は、実相院のホームページへどうぞ。

山側の庭は、落ち着いていて、ぽたりぽたりと落ちる水音以外は、
何も聞こえない。
お彼岸らしいのどかな一日だ。
巷の騒ぎを忘れるには、こういうところでのんびり過ごすのもいいな。

反対側の庭は、谷を挟んで比叡山を臨む。
6〜7年前に市民参加のプロジェクトでできたらしく、
木製オブジェなども混じってて、新鮮だ。
おおらかなのびのびとした庭で、比叡山の借景も素晴らしい。
ここから比叡山を臨む風景を観たかったので、
この日のような天気じゃないと、あかんかったのだ。
昨日は、ほんまに絶好のお天気だった。

門の横には、少し花びらの小さい桜が満開だった。
寒い時期に咲く山形の啓翁桜というらしい。
枯山水の庭の枝垂れ桜が咲いてないのが残念だったが、
おかげで観たことのない桜に出会えた。

バスの時間まで少しあったので、プラプラと周辺を歩く。
比叡山の観える風景は、何か心落ち着く。
この方角から観ることがあまりないので、新鮮さもある。

と、上の写真の白い壁のところに、案内板が出ていた。
岩倉具視の幽棲住宅とある。
岩倉具視が、隠れ棲み、龍馬や中岡慎太郎と密談をした場所らしい。
あまり好きな人物ではないが、藁葺きの屋根に惹かれて入ってみた。

落ち着いた、なかなかいい建物ではないか。
豪華すぎない、派手すぎないのも、ワシ好みである。

質素と言ってもいいくらいの建物だが、きちんと手入れがされている。
障子と組み合わせたガラス戸がモダンでええ感じ。

同じ、敷地内にある資料館も和洋建築で、洒落ていた。

さてバス停に戻り、今度は地下鉄の国際会議場駅に出る。
地下鉄に乗り継ぎ、北大路へ。

ここも、前々から行きたかった場所、酒器の今宵堂さんだ。
酒器のお店で「今宵どう?」さりげない駄洒落が好きだ。
鴨川のほとりの住宅街の中というロケーションもいいし、
古い民家をあまりいじらずに丁寧に磨いて使ってる感じもいい。
何よりシンプルな酒器がどれも素晴らしい。
一箇所凹ました猫型のおチョコと、なすびのような形の片口を頂く。
「包んできますので、その間にどうぞ」と出していただいた、
お茶と、酒粕を使ったアラレが美味しくて、
落ち着いたいい時間を過ごせた。

バスで再び四条河原町に戻る。

今日は、懐かしい人と待ち合わせなのだ。
四条木屋町の交差点で出会ったその人は、いきなり「こっち来て」と道路側に
ワシを誘った。
四条通の果てに夕日が輝いてた。
「お彼岸の日、そうなるように設計されてるのかな?」
正解はわからないが、同じことを喜べるってことで、
会ってなかった20年近い時間はかき消えた。

2人で入ったのは、こないだ初めて来て、安さと美味さに感激した「きみや」さん。
会ったのは、昔むちゃくちゃいっぱい一緒に仕事してて、
フリーになって東京に行ってからも何本か仕事したCMディレクターのサトチンだ。
しばらく近況報告するうちに、本当に会ってなかった時間が消えていった。
一緒にニューヨークに行ったのが、つい昨日のようだ。
その時買ったジャンパーを着ていったことも、すぐ気づいてくれた。
車上荒らしにあったり、遭難しかけた六甲山のロケハンの話も、
今じゃ、大笑いの思い出になってしまった。
鈴木慶一さんに音楽を作ってもらったのも、このコンビだ。
お互いの病気話で盛り上がったのが、過ごしてきた時間を感じさせる
唯一の話題だったかもしれない。

ええ感じに若い時みたいにガバガバと酒を飲んだが、
もう一軒、2人で行きたい店があった。
ワシのいとこが祇園でやってる倫敦亭というお店だ。
実は、サトチン、CM業界に入る前、
京都のバーでバーテンダーのバイトしてて、
うちのいとこも同じ店でバイトをしてて、知り合いだったのである。

30年近く前、初めてそのことに気がついて、いとこを驚かすために、
黙って、その店に行った時のように、今回も黙ってその店を訪問した。

そのままずっとバーをやり続けて、貫禄ついたいとこは、30年前のように
驚くことはなかったが、やはり懐かしい話で盛り上がった。
橋本家の逸話を、楽しそうに聞いてくれるサトチン。
橋本家について、誰より詳しい広告業界の人であろう。

サトチンは、現在鎌倉に住んでる。
ワシも去年初めて行って、大好きになった大船に住んでるらしい。
そして、故郷いわきの復興のために、いろんな活動をしてる。
ワシも、何か手伝えることがあったら、手伝わせて欲しいと申し出た。
20年の時間を超えて、新しい関係で、何か一緒に仕事ができたら、
会わなかった、この時間に感謝できる気がする。
サトチン、これからもよろしくお願いします。

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