これから、咲きたいもんです。利休桜のように。
昨日、散歩ついでに先杯さんの前を通りかかると、
先杯ご夫婦が、お店で作業されてた。
ワシに気づいて外に出て来てくれた。
先杯さんも、非常事態宣言を受けて、営業を控えておられる。
お互いマスクして、ソーシャルディスタンスを守りながら、しばし会話。
「みんな大変ですね〜」「早く気兼ねなくお店お邪魔したいですわ〜」
という当たり障りのない言葉から始まったが、
自分でも驚くほど、いろんな話が溢れて来た。
そうか、ワシは喋ることに飢えていたのだな。
毎日、メールやFacebook上でのやり取りはけっこうしてるので、
コミュニケーション自体は、不足してないのだが、
やっぱり文字でのやりとりと生の会話とは、随分違うのだろうな。
夜、先輩とメッセージでやりとりしてて、
「一日に一回くらいは、電話でもなんでも、誰かと喋りや」
とアドバイスされた。
昼間、生の会話の大切さを感じてただけに、言葉がすぐにお腹に落ちた。
そう言えば、先週、飲み仲間とネット飲み会やった日は、
久しぶりにお酒飲んだこともあったけど、
すごく気持ちよく寝られたもんな。
と、話を先杯さんに戻す。
先杯さんがあるのは、滝川公園の真前。
帰りしなに、ご主人が「うちの真前に一本だけ、遅咲きの桜があって、
それが、そろそろ咲き出してますよ。」と教えてくれた。
見ると、確かに、もう葉桜気味になった染井吉野に混じって、
白く可憐な花を咲かせ始めてるのが一本あった。
まだほとんどが蕾のチラホラ咲き。
八重桜じゃないのに、珍しいなあ、こんな品種もあるんや。
「うちの前に、ここには利休さんてお寿司屋さんが入ってて、
そこの大将、けっこうお年いってから、お店始められたんで、
この桜になぞらえて、自分も遅咲きできるようにと勝手に
『利休桜』と名前つけてたんです。」と教えてくれた。
利休さんは今は天神橋筋商店街に移転されて、
この界隈では一番美味しいと評判のお寿司屋さん。
大将の望み通り、遅咲きの花を咲かせたのだなあ。
利休といえば、思い出すことがある。
親父の没後、いろんな人からワシの知らなかった親父の話をお聞かせ頂いた。
家族みんなで「それをまとめておきたいね」という話になり、
お願いして、親父にまつわる文章を寄せて頂き、家族で自主編集して、
文集としてまとめて、文章を寄せてくれた方々に配った。
そのとき、表紙に使ったのが、親父が好きだった利休鼠色のクロス生地であった。
奇しくも、今年六月、ワシは親父の逝った年に追いつく。
その直前に人生の再スタートをした。
いろんな思いが、この利休桜に重なってくる。
良い話を聞けた。
この利休桜のように、
そして利休桜にあやかって遅咲きの花を咲かせた鮨処利休さんのように、
ワシも小さくても、遅咲きの花を咲かせられますように。
先杯さん、いい話、ありがとうございました。
やっぱり、生の会話、大切です。
鮨処利休さん、惜しくも閉店されて、
同じ場所に今はとんかつ利休というお店が営業中です。
鮨処利休さんとの関係は不明ですが、
美味しいらしいので近々行ってみようと思います。
(20240416記)