仲村清司「消えゆく沖縄」。

仲村清司さんの「消えゆく沖縄」読了。

仲村さんは大阪生まれの沖縄人二世。
1996年に沖縄に移住して、
図らずも沖縄ブーム、移住ブームの牽引車となる。
ワシも、この作者の「爆笑沖縄移住計画」を読んで、
沖縄移住に夢をはせたもんだ。

その作者が20年沖縄に住んでみて、見えた沖縄の問題を綴っている。
沖縄は、昔中国と日本という二大大国に挟まれ、
その危ういバランスの上を渡り歩くことで、命脈を保ってきたが、
琉球処分以降、自立は失われ、太平洋戦争以降は、
さらにアメリカという超大国も加わったパワーゲームの
ゲーム盤となってしまった。
だからこその、悲劇もきちんと語りつつ、
沖縄生まれではないからこそ見えてきた、
沖縄人そもそもの性質、
環境破壊とともに進む精神の荒廃を語る。
その根源にあるのは、「反ヤマト」に染まった
恨みベースのコミュニケーションではないか、
これをかけ違える前に戻って、
希望ベースの思考に展開させなければ、
という提言には、かなり頷かされる。
ワシが読んだ、このどう解決したらいいか、
見当もつかない問題において、
具体的方法は、これからを待つとして、
心の持ちようとしては、一番前向きな気がした。

しかし、この本がワシにとって特別な理由は、そこにあるのではない。
この本では、かなり長いページを割いて、
今年の二月に亡くなったBar「土」の「ごう」さんのことを
書いているのだ。
ワシは、10回もお会いしてはいないが、行くたびに、
そのお人柄と、話のおもしろさ、何もかもを見抜く
哲学者のような佇まいに圧倒されては、憧れていた。

そのごうさんの沖縄移住前から、直前に京都に居を移し、
亡くなるまでを、ごうさんと古い付き合いの仲村さんが、
つぶさに記録している。
少し文字がにじみながら読んだが、
ごうさんが沖縄に行った理由、内地に戻った理由、
すべてワシの知らないごうさんのエピソードだったが、
すべてワシの思った通りのごうさんだった。
やはり、素晴らしい人生の先達だったのだなあ。
もっともっと話したかった!

しかし、そのごうさんの話も感傷的に終始するのではなく、
物事の本質を見抜くごうさんの視点を通して、
沖縄の現在を捉えている。
現在の沖縄を感じるごうさんの視点も見事だが、
それを吸収して、自分の視点に加えていく
仲村さんも、見事でした。

今日、お昼に読み終わったばかりですが、
とりあえずは、もう一度、ごうさんの部分を読み直して、
少ないけど、ワシの大切なごうさんとの思い出に浸ろうと思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA