ブリューゲル展@国立国際美術館。

先日、会社から歩いても10数分の国立国際美術館に
ブリューゲル展、観に行って来た。
歩いて10分程度のとこに、この美術館と東洋陶磁美術館、
来春には香雪美術館も開館する。
なかなか恵まれとるのお。

さてさて、ブリューゲル展。
ブリューゲルだけでなく、
ブリューゲルに繋がるオランダの美術の系譜を編年的に展示してあって、
すごく分かりやすかった。

最初はキリスト教にまつわる教会芸術。
人物彫刻から、人物中心の絵画に。
けど、イタリア系のオスマシ人物だけではなく、
腹黒そうな人物もいたりして、ニヤリとしながら観覧。
背景が暗く落ちていて、人物にも影がさしてるようなものもあって、
ここから、もうひとつの系譜が、レンブラントとかに繋がってるのかあ、
とか思いながら、次第に引き込まれていく。

時代とともにモチーフが人物から、人物を含めた風景に広がっていく。
しかし、ただの風景画ではなく、常に人物も配されている。
つまり、人物画からストーリー画、
瞬間を捉えた絵から、時間を捉えた絵に変わっていったという感じかな。
ワシとしては、その方が面白い。
ここの時代で一番おもろかったのは、ワシ的には
伝ジョアキム・パティニールの「ソドムとゴモラの崩壊のある風景」やったな。
構図も絵から漂ってくる緊張感も、なんかハラハラする感じ。
「終わってること」やのに「今動いてること」に思ってまう臨場感がおもろかった。

そして、ヒエロニムス・ボスが登場すると、さらにぶわ~~っと世界が広がる。
あ~~やっぱりワシ、ボス好きやなあ。
ボス、そしてその弟子、模倣者たちの世界観。
樹木人間、足の生えた魚、戦う宝箱人間。
魚を呑みこもうとする魚がさらに大きな魚に呑みこまれようとしている。
異形の生き物たちが跳梁跋扈する不思議な世界。
樹木人間の中には、その胴体に木の洞があって、
その中に居酒屋があるというものまである。
一応、こういういろんな誘惑を遮って神の国を目指す宗教画なのだろうが、
こんなのが好きで、描きたいって情熱ないと、
今までにいなかったこんなグロい生き物、産みだせないよなあ。

観てるうちに、諸星大二郎を思い出す。
アイディア、デザイン、モチーフだけでなく、線や、いやらしい表情まで、
諸星大二郎は絶対、ヒエロニムス・ボスが好きで、参考にしてるに違いない。
なんとなく前から思っていたが、今回、現物を観て確信した。

そして、最後にブリューゲルが登場。
最初はボスの影響下にいてる感じだが、
次第にその影響も呑みこんで、自分の画風に昇華されていく経緯が
分かりやすく展示されている。
ブリューゲルと言えば、まずバベルだが、
「農民画家」としての側面も強いようで、
絵としては観たことあった「農民の結婚式」が
ブリューゲルだったのは、少し驚いた。

この展覧会にも農村や農民を描いた版画が多数あって、
ヨーロッパ人物画と言うと、頼まれ肖像画が多いからか、
美男美女が多い気がするが、
ブリューゲルの絵はズングリムックリが多く、
酒樽から直接酒飲んでるような奴がいっぱいおって、
けっこう友だちになれそうな気がした。

そして、ラストに「バベル」。
やはりこれは圧巻!
けど意外と小さかった。
そのため、まん前で観るための列ができていたが、
二列目からだと並ばずに観られるので、
時間のない人は、そちらにどうぞ。

絵の内容については、いろんな解説が出てるし、
それ以上のこと、言えそうにないので、多くを語らないけど、
ホンマによう考えられてる、ようできた絵で、見飽きないと思う。
あとで解説を読んで「あ~~ちゃんと観とけばよかった~!」と
思うポイントもいくつかあったので、
少しは予習して行った方がいいかもしれない。

個人的に思ったのは、
北九州門司港のカボチャドキア国立美術館のことだ。
あそこにも「バベル」っぽい絵がいくつもあるが、
そこにいる人の表情まで描き込まれてて、
その表情は、どちらかと言うとボスっぽい。
そして、パーツパーツはアジアっぽいものが、混じり込んでいる。
いろんなものを呑みこんでるけど、
つぎはぎの縫い目が全く見えず、
統一されたひとつの世界を描いているカボチャドキアも
やっぱり凄いなあ、と思った。

最後、出口近くに大友克洋さんが想像して描いた
バベルの内部の絵もあるので、お見逃しなく!!

ミュージアムショップで手に入れた
ボスやブリューゲルが描いた異形のモノたちハンカチ、
かなり気に入ってます。

大阪の展覧会は10月15日(日)まで。
やはり平日の早い時間が見やすいと思います。

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