ハッピーではないけど、痛快な終わり方。BBBムービー「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」。
1970年をメインにした展覧会に行った同じ日に、
同じ年を舞台にした映画を観るとは。
まあ、別に内容は、万博、関係ないんすけどね。
その時代を意識してるのか、ちょっと古びた感じのするトーンは、
アメリカ映画というより、ヨーロッパ映画のような感じがした。
まあ、ボストンって町は、聞くところによると、
アメリカの中でも、ヨーロッパっぽい町らしいので、
ボストンとその近郊を舞台にした、この映画も、当然そうなるのかもしれんな。
ストーリーは、そんなに突飛でもなく、
ひとつひとつ練られた脚本で、
安心して観てられて、
しっかり、胸に響いて来る、ええストーリーでした。
一気に取り残されるのではなく、
ワンクッション置くところとか、ほんまうまいなあ。
置いてけぼり感が、余計に伝わる。
学生の男の子、最初は憎ったらしくしか見えなかったのに、
だんだん、弱さや心の傷が見えて、かわいく見えてくる。
頑固者の先生も、そのかわいさに溶かされるように、
どんどん自分でも隠し続けてたかのような優しさが露わになる。
極め付けは料理係のおばちゃん。
最初から、どっしりとお母さんみたいやけど、
時折、とてつもない哀しみが溢れて止まらなくなる。
三人が三人とも傷を抱えながら、
お互いの傷に気づき、労り、いつしか、
心が繋がって行く。
どこかに傷を抱えた大人にしか創れない物語かもしれんなあ。
斜視、悪夢、夜尿症、黒人への差別、若年性認知症、、
さりげなく、差別や社会的弱者に眼を向けるスタンスも上手すぎる。
それらが、じわりじわりと、映画全体の優しさに繋がって行く。
なんか最後「数年後の三人」みたいなハッピーエンドにするのかと思ったけど、
それをしない、終わり方がイカしてた。
心の傷は、いつまでも完全に癒えたりは、しないのかもしれない。
その傷を抱えながら、その痛みに次第に慣れて行くしかないのかもしれない。
ちょっと痛快だけど、決してハッピーではない終わり方を観て、
ワシは、そんなことを思っていた。