名瀬の灯りと、誰もいないオーベルジュ。

一人酒続き。
前半は、こちら。

ちょっとずつ夜は寒くなる。
ちょっとずつ灯りは消えて行く。
考えたら当たり前だな。
日の沈んだ夜の始まりに人は灯りをともし、
休む順にスイッチを消す。
だから人の住む街は日没直後が一番明るく、
徐々に暗くなる。
当たり前のことなのに、
今まで考えの及んだことがなかった。
アホみたいに飲んだり、
アホみたいにサッサと寝てたり
してたからだろう。
名瀬の街を見下ろすバルコニーで
ひとり飲んでたら、そんなことに気づけた。
同じ街の灯りをこんなに長い時間、
見続けたのは初めてのことかもしれない。
この年になって、初めてのことに遭遇するのは、
嬉しいことだな。

寒くなって屋内に入ると、
オーベルジュだけに、そこはレストランフロア。
見る人は誰もいないのに優雅に泳ぐ熱帯魚、
乗る人もなくオブジェとして第二の人生を送る自転車、
今日も誰にも弾いてもらえなかったアップライトピアノたちが、
静かにそこにいる。
ワシに期待するんじゃないよ。

ピアノの方を向いた椅子に座ってみると、
そのピアノを浜田真理子さんが弾いてるような気分になった。
いつかこのピアノが浜田真理子さんに弾かれることがあったらいいな、
その時は、絶対ここにいたいな。
とか思いながら部屋に戻り、
お湯の蛇口をひねる。
冷たくなった体を温めよう。
ぐっすり眠れるように。
ここ数年で一番気持ちよく穏やかだった
今日一日の続きを夢で見れますように。

酒と風景に酔って、
柄にもなくセンチメンタルになってしまって、
朝読み直すと少し恥ずかしい。
(20180414/AM8:49記)

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