初めての坐禅体験@京都勝林寺。

元々宗教心の希薄な方だとは思う。
ブッダとか、聖徳太子とか、空海とか、法然、親鸞にも興味はあるけど、
思想とか哲学としての興味だと思うので、
それが信仰に向かうことはない。
お遍路さんにも興味はあるけど、それは民俗学的なもののような気もする。
古事記は歴史好きとして惹かれるだけで、神道と結びつけては、あまり考えていない。
海外に目を向けても一神教と多神教の違いなどを本で読んだりもするけど、
宗教学としての範囲を超えず、
そこから信仰が始めることはなかった。

ただ坐禅には、昔から興味があった。
なんとなく哲学的な「無」というものに近寄れるような気がしてたのだった。

先日、そんな話を友だちとしてて、
「そうや!一度やってみよう!」と思い立った。
こういう気持ちは、日々薄れていくものなので、
その日のうちに、坐禅できるところを調べて予約した。
大阪市内にもあるようなのだが、
「どうせなら初めは、景色のいいところで」と思い、
季節的にも、少しは紅葉見られるかも、と、
東福寺の塔頭の勝林寺というお寺に狙いを定めた。

先週金曜、今にも降り出しそうな天気の日に、
お京阪で、東福寺に。

勝林寺は、東福寺の塔頭の中で一番北で、東福寺から見ると丑寅の鬼門の方角にあるらしく、
毘沙門天様が祀ってあるらしい。

流行りの花手水。

「吉祥紅葉」と呼ばれる紅葉が有名らしく、流石に見頃は過ぎていたが、
その分、紅葉の絨毯が見事だった。
京都まで来た甲斐がありましたな。

ええ感じの石畳を通って、坐禅の会場へ。

会場は、新築された建物みたいで、きれいで、
窓からは庭の風景が見える。
ええ感じ。

さすがに坐禅中は自撮りできないだろうから、
直前に自撮っておいた。
ちょっと緊張気味。

お坊さんが出て来はった。
あ!なんかテレビで観たことある人!
ワシKBS京都の歴史番組好きなんですが、
たぶんそれに出てはったんやと思う。
あ、「吉祥紅葉」って言葉も、どこかで聴いたなあ、思ってたんやけど、
その番組で、このお坊さんが説明してはった気がする。
確信の持てない不甲斐ない海馬を思いつつ、説明をお聴きする。

へえ!坐禅って、目を閉じるもんやとばかり思ってたけど、
目を閉じてしまうと、暗闇に自分の空想が広がってしまうので、
半眼にして1メートルくらい先を見るもんなんやね。
ああ仏さんがようやってはるあの目なんや!
初めて知りましたわ。
ワシの場合、目を閉じると、多分寝ちゃうしな。

言われるように、足を組んで、手を組んで、
いよいよ坐禅開始。
なるほど、この半眼やと、自分の妄想に苛まれること、ないんやな。
けど、目の前にある木目がチラついてきた。
色が、薄くなったり、継ぎ目がわからんくなったり、
ときどきは全部が真っ白に見えたり、
早くも、不思議な状態に自分が入って来てる気がする。
体験したことのない没入感。
けど、頭は何がしかを考えている。
さっきまで考えていたことがなんだったかは思い出せないけど、
「無」というわけではないな。

数日前からちょっとアレルギー出てたので、
鼻が垂れるのが気になっていたが、
啜ると、すごく部屋に響きそうだし、
かといって拭いてしまうと坐禅にならない気がして、
もどかしかったのだが、
それもいつからか気にならなくなっていた。
鼻垂れるまま、坐禅してる初老男。
絵にはならんな。

十五分坐禅して、一旦休憩。
十五分が永遠に感じられるくらい長い時間に思えた。

休憩中、お坊さんの言葉をお聴きする。
「雑念が出てくるのは仕方ない。
それに執着せず、やり過ごして、そこに留まらないようにする」。
なるほど。
ちょっとムーディー勝山思い出す。
あのネタって、なんとなく哲学的なとこ、感じてたけど、
坐禅と繋がっていたのか!!

あと、法然や親鸞の他力本願的な思想とも、なんとなく繋がってる気がする。
浄土系の仏教と、禅宗、ストイックさで言うと、
仏教としてはなんとなく対局にある気がしていたが、
意外と、どこかで繋がってて、そが仏教の真髄なんかもな。
「努力だけでは、仏にもなれないし、無にもなれない。
諦めるところから、次のステージが見えてくる」みたいなことかもしれん。

今、言語化するとそんな感じなんやけど、
そのときは、こんなことを薄ぼんやり感じながら、
二回目の坐禅は、雑念が降りてくることに罪悪感を覚えず、
次から次から降りてくる雑念をムーディー勝山手法で、
受け流していると、一回目より全然早く十五分が過ぎた気がした。

ちなみに坐禅というと思い浮かべる「ピシッ!」というのは、
申告制でした。
お坊さんが坐禅してる人の間を歩いて回るので、
して欲しい人は、組んだ手を合掌して待つ、というスタイル。
目瞑ってたら、できませんわな。

なんかいろんなこと含めて、長いこと続いてるもんには、
やはり合理的で、洗練された作法があるもんやなあ、思いました。

勝林寺は東福寺の塔頭なんで臨済宗。
お坊さんのお話では、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗、
それぞれ作法が違う坐禅があるらしい。
調べたら、黄檗宗は一番近くて東大阪までいかないとないみたいやけど、
曹洞宗は、チャリンコ圏内にあるみたいなんで、
全部制覇してみて、自分に合いそうな宗派の坐禅、行ってみようかな、と思ってる。

あ、と言っても、宗教心が出てきたわけではなく、
あくまで自分の精神衛生のためなので、
新興宗教系やスピリチュアル系の勧誘は、お断りしますよ!(笑)

坐禅が終わってから、少し境内を散策。
こじんまりとしてるけど、ええお寺やな。

やっぱり吉祥紅葉は見事でした。
確か、あの番組に寄ると、一本の木で、色づき具合が違ってて、
グラデュエーションが美しい、ゆーてたんやなかったかな、
とない海馬を奮い立たせて思い出す。
だから残ってる葉も、真っ赤だったり、オレンジだったりしてるんやろか。

帰り道は、きた道と違う道を選ぶのがワシの流儀なので、
だいぶ遠回りになるが、日赤病院を回り込む形で帰る。

おお!坂の上から京都タワーが見える。
なかなかええ景色やなあ。

東福寺の駅に向かう途中にお寺があったので、
これも東福寺の塔頭なんやろか?
勝林寺よりも北にあるけど?と、観てみると、
あ!これが萬寿寺なんや!
京都五山の中で、唯一「知らんな〜」思ってたお寺や。

一般公開してないんやな。
それで知らんかったんかも。
なんかそれも潔い気がしてええな、と思う。

で、帰り道、同じルートを通らない流儀のワシは、
東福寺から京阪に乗らず、JR奈良線で京都駅まで出て、大阪に帰るのであった。
ちょっと東福寺駅前の「」さんに寄りたかったが、
大阪で用事があったので、残念ながら、真ん前を愛想なしで通り過ぎて。

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