津軽のカマリ。

津軽三味線のレジェンド、初代高橋竹山さんを巡る人々のドキュメンタリー。
ワシは二度観ましたが、そのたびに新鮮な気づきがありました。
もう一度、観たいと思ってます。
現在、監督の大西功一さんが全国を上映キャラバン中。
大阪は、1月中旬に西成の釜晴れで上映会がありました。
それが、一月半かけて、とうとう、日本の西端、八重山諸島に到達します。
映画も素晴らしいし、その後の監督とのトークタイムも、極上の時間だと思います。
沖縄つながりで言うと、大西監督は、あの名作「スケッチ・オブ・ミャーク」
(ミャークは、宮古島のこと)を、作った監督さん。
宮古の門外不出の神歌を取り扱ったあの映画は、
ドキュメンタリー映画としても、素晴らしいし、
民俗学的にも貴重な資料だと思います。
その監督の視線が、南のミャークから今度は、ヤマトの北の果て、
津軽に飛んだこの作品。
あの鋭く、優しい視線が、津軽に注がれます。
この映画は、ドキュメンタリーでありながら、
映画全体が、ひとつの歌であるような濃密なリズムがあります。
そこから発せられる何か匂いのようなもの。
それこそが、この映画の主題なんだと思います。
だから、タイトルに、高橋竹山は出てきません。
「カマリ」は、そのまま訳すと「匂い」とか「香り」のことらしいですが、
映画を観てのワシの印象では、もう少し広くて、
その土地が持つ、独特の雰囲気みたいなものやないか、と感じました。
一番近い言葉探すと、ポルトガルのサウダージかもしれんな、
と思ってます。
津軽の三味線も、元を辿れば、沖縄経由で、ヤマトに広まり、
津軽にも伝わったと聞きます。
沖縄の三線と、似ていても、別の楽器のように発展した
三味線の音にも注目して欲しいです。
内地でも、なかなか観られない映画です。
石垣の方、八重山の方に、ぜひ観て頂きたいと思い、
心から推薦いたします。