【懺悔文】ビートルズと、東芝ファミリークラブと、私。

最初に暴露しておくとふたつに分けるとするなら、私はローリング・ストーンズ派であった。
理由は明白だ。
「生まれて初めて買った洋楽のレコードがストーンズのEP版だったから」だ。
確か、ブラウンシュガーと何かが一緒になった日本仕様のお得版かなんかだったと思う。
なぜ、ビートルズではなくストーンズだったのか、その理由もまた明白だ。
「ストーンズの方がなんかエッチそうだったから」。
目覚め始めた小5の少年のポケットの中の春の蕾は、モノの如何を問わず、
少しでもセクシャルな匂いのする方に、なびくものなのだ。

その後、周りがどんどんビートルズに目覚めていくのを尻目に
「ストーンズ派」を公言してしまった私は、
今さら「ビートルズもいいね」とかなかなか言えず、
姉貴を通じて、ビートルズのLPを友だちに借りてきてもらいカセットに落としたり、
エアチェックしたりと、隠れビートルズファンとなり、
中でもジョンに傾倒していくこととなる。

余談ではあるが私の師匠もストーンズ派で、ミック・ジャガーが初来日したとき誘うと、
「ワシはミック・ジャガーが好きなんではない。ストーンズが好きなのだ」と言い、
ならばとストーンズとして初来日したときに誘うと
「ブライアン・ジョーンズのいないストーンズなんて…」と、
どないもならん面倒くさいことを言い放つ男であった。

その後、パンクムーブメントにやられたり、ジャズに浮気したり、
日本の関西フォークに気づいたり、ブリティッシュ・インベンションに浮かれたり、
レゲエこそ神とか言い出したりで、ビートルズへの思いは確かにありながらも
私の中で深く潜行していくこととなる。

大学の卒業旅行でリバプールを一人訪れた際も、
「ワシはビートルズじゃなくてエコバニ好きでリバプールに来たんだも~ん」とか
自分に言い訳しながら、ジョンがミミおばさんと暮らしていた家を訪ね、
涙したりする屈折ぶりであった。

そんなある日、家に帰ると家は白塗りのアホな顔をしたおっさんで埋め尽くされていた。
おかんが藤山寛美大全集のビデオを購入したというのだ。
自分の中に流れるアホ好きの血におののきつつ、
おかんとモニターに向かい、寛美を堪能して笑い泣きする日々が続いた。
そのビデオ集、もちろん通販で購入したのだが、通販の恐ろしいのはそれからだ。
次々に「あれも買え、これも買え」のパンフレット攻勢の日々だ。
寛美全集を買う50代の女に「ジャズ界の巨匠たち」がヒットするとは思えないのだが、
そのあたりは、通販ビジネスの今後の課題と言えるのではないか。いいや、言えはしまい。

その中にふと私の目を引くものがあった。
「ビートルズ全オリジナルアルバム集」専用ボックス入り。豪華解説付き。
はっ、これを買えば長年のちょっと後ろめたい鬱屈した思いを一発逆転できるのではないか、
それどころか、いきなりトップランナーのビートルズ博士~?
ウハウハ、ワハハ~!何でも聞いてちょ~~!

さすが、寛美全集を買う女の息子。
そんな都合のいいアホな夢を抱き、そそくさ申し込んだのであった。

専用ボックスは私の部屋のリビングに今でも誇らしげに飾ってはある。
そして思い出したようにCDを取り出すこともある。
しかし、いまだにそれが何枚目のアルバムか、とかはキチンと覚えられず、
博士への道は程遠いのであった。

…と思い出してみると、やはりかなり卑怯な目的で
購入していたことを改めて確認して
愕然とする私であった。

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