旧大日温泉巡礼。

先週土曜、たぶん初めての土地にお邪魔した。
新開地から神戸電鉄の鈍行でいくつめか、丸山という駅で降りる。
なんかでっかい窪地のような不思議な風景。
ここだけ、世間から隔離されてるような気分になる。

駅は、その窪地の中腹にあり、駅から窪地の底に向かって緩やかに降りていく。
向かいの斜面には、かなり上まで、住宅が並んでいる。
昔は栄えてたであろう、商店街を抜けていく。

昔ながらの古い商店は、おおむね営業しておらず、
その間を縫うように新しい住宅が建っている。
たぶん、古い家や、使われなくなった商店が、新しい住宅に変わっていってる途中なのだろう。
窪地の底には川が流れ、その川沿いに目的地はあった。
一度見逃して通り過ぎてしまったが、町の人に聞いてなんとか辿り着けた。

橋の近くから、石段を30段ほど降りる。いよいよ持って窪地の底だ。
目的地は旧大日温泉。廃業した銭湯らしい。
待てよ?さっき降りた石段の先にはこの建物しかない。
こんな奥まったところに銭湯?
うなぎの寝床で有名な京都ですら、銭湯は道に面して入口がある。
詳しい人に聞くと、そのまた昔は温泉旅館であったらしい。
それなら納得だ。あの石段は日常を離れるための装置なのだろう。
しかし、その温泉旅館も、いつしか銭湯になり、銭湯も廃業して、
最近、ここの持ち主になったのは、なんと世界一周楽団のギタリスト、八木橋さんなのだ。
八木橋さんはもともと東京在住。
よくもまあ、関西に移住するにしても、こんな神戸の山の中に。
いや、逆に関西に土地勘がないから選べたのかもしれないな。

その異世界で、フリマやら、ライブやら、ガチャガチャと楽しげなイベントが開催されるのだ。
その風呂屋に入ると、いきなり八木橋さんが受付をしていた。
数年ぶりにお会いしたので、最初は少しぎこちなく挨拶。
その後ろに広がってたのは、男湯、女湯の脱衣所をぶち抜いた広場、
あちこちで、フリマやってたり、珈琲屋やってたりする。
日本酒売ってるのは、玉造のバンコさんだ。
元男湯にはおでんとうどんを売るお店、元浴槽に腰掛けて食べてる人もいる。
元女湯には出し巻きの店、駄菓子屋とビールなど売ってるのは、リー・テソンくんだ。
端っこでは、クラストの高田亮介くんが、人間ジュークボックスをやってて、
一曲100円で演奏してくれる。
曲によっては、テソンくんのボーカルまで付いてる。

場所も異世界だけど、中も経験したことない不思議な世界だった。

あまりの異世界ぶりに少し戸惑い、外で休憩してると、銭湯の二階、
昔アパートだったところを案内してくれる人がいた。
せっかくなので、付いていってみた。

もう使われなくなって、何年も経ってそうだけど、きちんと直せば、
ちゃんと住めそうな、昭和な感じのアパート。
実家の近所にもよくあったな。
子どもの頃、サンケイリビングを配るバイトしてたのが、こんなアパートだったなあ、とか思い出す。

裏に回ると、川に面した庭がある。
こりゃまた、綺麗にしたら、人気のカフェスペースになりそうな立地やな。

中に戻ると、ナオユキさんと志生太くんがリハみたいなのやってた。
高田くんは、誰かとセッション始めてる。
なんと自由な空間、自由な時間や。

テソンくんの紹介で志生太くんのバケツドラムが始まる。
志生太くん、久しぶりやけど、ワシのこと覚えててくれた。
少し見ないうちに、えらい大人っぽくなって、ワシの方が一瞬分からなかった。
ナオユキさんと一緒にいたので「あ、志生太くんや!」と気づいた感じ。
志生太くん、ナオユキさんの息子さんなのだ。
バケツドラム叩き始めるとやっぱり志生太くん。
こんなに楽しそうに叩く人、ワシは他に知らない。
自分が楽しいだけじゃなく、観てる人も楽しくさせる、
ちゃんとしたエンターテイメントだ。
スティックが空中に舞う。キャッチした手がそのまま、バケツを連打する。
音も、絵も楽しい。
しかも、また表現が増えてる。
今、どんどん成長してる時なんやろな。

そして、ナオユキさんの登場。

客の温度を測りながら、どんどん自分のペース引き込んでいく。
もちろん、爆笑の連続。
元々の勘の良さに、どんな場所でもやってきた経験がプラスされて、
どんな場所でも即座に空気を読み取って、受けるネタ、笑いを最大にするキャラ設定を持ってくるんだろう。
何回行っても、同じステージは、きっと一つもない。
ワシのちょっと前に、高校生くらいの男の子が座って、熱心に観ていた。
酒場のネタなど、分かるはずもないだろうに、友だちが、どこかに行っても、
ずっと動かずにナオユキさんを見詰めてた。
彼にとって、初めてかもしれん本物の芸人さんを観る体験になったのかもしれんな、と思うと、
関係ないのに、嬉しくなってくる。
たっぷり1時間近く笑い続ける。

休憩入って、遅れてやってきた水田十夢くんのフリマを観にいく。

今日はご両親と来てて、お母さんの古着やバックを売るらしい。
「橋本さん、このスカートどうすか?」
何勧めるねん!いるわけないけど、お母さんすぐそばにいらっしゃるから、
「いらんわ!」とも言いにくい、むちゃくちゃ、難しい問題出すなよ!!
小腹が空いてきたので、うどんを頂く。ちょっとやわ目で、出汁が効いてて、ワシの好きな味。
今のところパーフェクトやな。十夢のオススメ除いて(笑)

今日は、お客さんできたというブルームーンカルテットの黄さんや、もちろんオーナーの八木橋さん、
写真撮るの忘れたけど、松ノ葉楽団の松葉さん、トリドリの梅田さん、蠣崎未来さんなど、
ミュージシャンの方も、演奏なしで楽しんではる。
ほんま、ええイベントやわ。

最後は、高田くん、志生太くんをバックにナオユキさんが、トーキンブルースで、
ネタではなく、今日の感想などを、おもろく歌ってくれる。
途中、テソンが飛び入りするが、もひとつ受けず(笑)
けど、ナオユキさんがうまく拾って、笑いに繋げる。
ほんまプロフェッショナルですわ。
めでたく、爆笑、拍手で、お開きに。

あ〜おもろかった!
テソンくん、誘ってくれてありがとう!!
今回、関西のことまだあまり知らない八木橋さんをサポートして、
テソンが、いろいろ準備に動いたらしい。
お疲れさま〜!
関係者の皆さん、ありがとうございました。
大盛況、おめでとうございます。

余韻を楽しみたい気分もあったが、次の予定までギリギリの時間になって
慌てて、知り合いに挨拶して、会場を出る。

夕暮れ迫る、この町は、きた時以上に不思議な感じがして、
今日あったこと、全部夢だ、と言われれば、そんな気もするなあ、
と思いながら、丸山駅への坂道を登った。

また同じ場所で、イベントやって欲しいなあ。

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