すべての要素に、すべて意味があるように感じる。BBBムービー 「Chime」。
ワシは、ホラーとか、暴力とか、血の出る映画に、
極端に弱いのだが、
黒沢清監督の映画は、
なぜか観てしまう。
どこまでも続くような長回しだったり、
何を表してるのか、はっきりとはわからないモンタージュだったり、
すべて意味を観る側に考えさせるような展開なのだが、
そのカット、ひとつひとつに、
音のひとつひとつに意味があるような気がしてしまう。
最初の方の、主人公の背中にゆっくり近づいていくカットだけでも、
すでに怖い。
これは誰の主観目線なのだろう。
人間だと、ここまで人の背中に寄っていくものだろうか。
人間でないとしたら、何?
そして、この主人公は、なぜこんなに寄られるまで気づかないの?
やっぱり、これは目線ではなくて、
見せ方のテクニックなの?
と思いながら見てると、あ!気づいた。
やっぱり目線だったの??
各々が、そのカットの意味を勘ぐるまで、
ずっと回し続けて行く。
そのチャイムは、外から聞こえるものなのか、
自分の中から聞こえてくるものなのか、
も、最後まで観てもわからない。
けど、その「チャイム」の存在感だけは、ずっと強烈にあって、
だからなのか、玄関チャイムが鳴っただけなのに、
「これか!」と思って、飛び上がるほど、驚いたりもする。
主人公だけじゃなくて、登場人物、全員が、
どこかおかしい気もするのに、
主人公は、全然そのことを気にかけない。
道端に落ちてるペットボトルほどにも気にかけない。
それはこの主人公が変だからなのか、
(間違いなく、変ではあるのだが)
この世界が、そもそも、こんなものなので、
そんなこと、気にしてられないのだったか、
自分の中の常識の平衡感覚が揺さぶられていく。
ホラーと言っても、ショッキングなビジュアルや、
ありえないファンタジーで怖がらすのではなく、
「もしかしたら自分の中にもあるかもしれない恐ろしい何か」を、
世相も交えながら、描いて行く。
だから、間違いなく2024年の映画なのだし、
だからホラーが苦手なワシでも、
気になって仕方なくなる映画監督なのだろうと思う。
そして、きっと監督の頭の中には、
語らないけど、すべてのカットに何かの確信があるのだろうと思う。
意味は限定してなくても、
映画の中での、そのカット、その音の役割については、
確信があって、映画を構成してる気がする。
だから、きっと、どのカットも必要不可欠なのだろうと思ってしまう。
友だちと話してて、気づいたのだが、
黒沢清さんは、長回しの後、突然やってくる狂気を、
「CURE」の時から、ずっと積み重ねていって、
しかも精度を上げている。
こんな人には真似できない方法論を、
磨いていける監督って、
自分のその方法論に、どこかで確信を持っているんだろう。
間違いなく、唯一無二の世界を作る、
すごい監督なのだろうな。
観る側は、この映画で解き明かせなかった謎を追い求めて、
次回作も観てしまうのだろうな。
ワシも、黒沢清轍に、ハマってしまったようである。
怖いの、ほんと、苦手なんだけどね。
ワシはこの映画、劇場で観たのだが、
この映画は配信とかではない、新しい形で、
動画として、個人個人で所有したり、人に貸したりできる、
新しいシステムで流通しようとしてる映画で、
どこででも楽しめるようなので、
興味のある方は、こちらからアクセスしてみてください。
ワシは、よ〜わかりませんでした。