入院CD集。

今回の入院でお世話になった音楽たち。
前々から聴いてたもの、今回初めて聴いたもの混じるが、
今回初めて感じた印象をまとめてみた。

やっぱりこういう状況で聴くと普段とは少し違った感想を抱いてしまうのか、
知ってる音楽もちょっと違って聴こえて新鮮だった。

ジェシ・ウィンチェスター、ちゃんと聴いたのは初めてかもしれん。
ひとつひとつの音が、若々しくて、何かこれから起こることに、
ワクワクしてるような瑞々しい音だった。
50年前のアルバムとは思えんな。
さすが、ロビー・ロバートソンを動かし、
ボブ・ディランをして「最良のソングライター」と言わしめた男だ。
このアルバムを家で聴くと、どんな風に感じるのか、楽しみだ。

鈴木常吉さんの「オールウエイズ・ラッキー」。
これ、聴けば聴くほど、すごいアルバムだ。
枯れた、出しづらそうな鈴木さんの声が、
鈴木さんの人生すべてを絞り出してるような気がして、
ズンズン惹きつけられる。
物凄い磁力。
もう「どの曲がどう」とか関係ない。
鈴木さん生前「本当は歌詞とかどうでもいいんだよ。声なんだよ」って
言ってたことあったけど、こういうことだったのか。
ものすごく残ってるけど、なかなか実感できない言葉だったけど、
このアルバムを繰り返し聴いて、
やっと、その言葉に辿り着けた気がする。

良元優作さんの「コロナの頃なのだ」。
去年の自粛が始まってから今までのことを思い出しながら聴く。
ひとつひとつの音が思い出深く愛おしい。
人生、初めての状況、鈴木常吉さんはじめ、
こういう状況できちんとお別れできないままのような別離、
いろんなことが思い浮かぶ。
今回の入院もその文脈の中で、位置付け直した気がする。
これがこの状況のエピローグであって欲しいなあ、と心から願う。

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大谷氏の「地道な活動」。
またこれはどえらいアルバムだ。
これが地道な活動にしかならないのは、もったいな過ぎる。
風変わりだけど、奇を衒ったわけではなく、
どの曲にもズシンとした背景や根っこを感じる。
「この曲、ええなあ」思ってクレジット見たら、
「すきすきスウィッチ」の佐藤幸雄さんが
ギターとコーラスで参加してた。納得。
鈴木常吉さんとも共演してた大谷氏、
鈴木さんが気に入ってた理由がわかるなあ。
ぶっとい、本物の音楽、聞かせて頂いいた。

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その大谷氏とも対バンしてるふちふなさんの「アワ・フェイバリット・ソングス」。
カバーソング集なのだが、その選曲もすごいし、
演奏がまたぶっ飛んで出る。
ほぼベースとボーカルだけなのに、
こんなパンキッシュで新しい音が出せるんやなあ。
ふちふなさん、分かったつもりになって触りに行くと、
そこにはおらず、さらにさっきへ行ってる、
逃げ水のような音楽です。
まだまだ追っかけたくなりました。

そして、良元優作さんに教えてもらった山中カメラさんの
「現代音頭集」。
これが衝撃だった。
カメラさんは日本のあちこちの新しい音頭を作ってる。
ご当地ソングみたいだが、やり方がすごい。
そこに住み、人の空気を吸い、土地の歴史を調べ、
音楽を聴き、その上で、ただの観光ソングではなく、
その土地から湧き上がって来るような歌詞とメロディを作り、
それを土地土地のミュージシャンと音源化し、
地域の人と踊りを作り、それをみんなで練習し、
土地の踊りにして、それを広める。
言えば、その土地土地の音楽と踊りの文化を21世紀時点で
まとめ、体系化して、次の世代に伝えていくような作業、
一時的な地域興しではなく、文化の面から歴史を見据えての事業、
まったく素晴らしい。

道後温泉の湯玉音頭は、参加ミュージシャンに、
中ムラサトコさん、ツルさん、仙九郎さんに工藤冬里さん、
ワシの好きなミュージシャンがすずなり、
仕上がりも素晴らしかった。

有名じゃなくても、バズるとか、関係なくても、
こうやって、土地に根ざした、意味のある仕事してる人もいるんやな。
ほんまに見習いたくなる人に出会えた。

こういう時間だからこそ感じられたことが、たくさんある気がする。
今回の入院、なかった方が良かったのかもしれないが、
もうそっちの現実は体験できない。
だったら、入院ありきで「入院してっ良かった」と思えることを
積み重ねるしかない。
この音楽と出会い、いろんなこと感じられたのは、
その積み重ねのひとつになってると思う。

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