【隠岐島レポート】。


※長文です。地方創生とか地方活性化とかに
 興味ない方はスルーしてくださいね~~!

先日、隠岐島に行って来たが
その第一の目的は、もちろん、
なかむら旅館であった。
「あんな離れた島まで、ワシの好きなミュージシャンたちが
次々に行くのは、どうしてなんだろう」てのを確かめたかったのだ。

そしてもう一つの目的は、海士町という町を知りたい、ということだった。
海士町は、ミュージシャンだけでなく、いろんな人を惹きつけるようで、
Uターン、Iターンどころか、Ⅳターン(海士町に島留学してた
本土の人が大学で島を出て、大学卒業後に島に戻ってくる)まで
起こるような勢いで、地方には珍しい人口増加地域であるらしい。
その秘密の一端でも実際に行くことで知ることができれば、
という期待も持ちながら、初めて隠岐島を訪れたのであった。

もちろん、二泊くらいの滞在では、その全容を知るには及ばなかったが、
飲み屋で、移住者、地元の方の話をできるだけ聞いてみた。
そして思ったのは、どうも、この変化の一端、
いやもしかしたら中心にあるのは、
島前高校という学校の存在かもしれない、ということだった。
昔、与那国島の資料館で管理人のおばあちゃんと話をしたとき、
「与那国に高校ができなかったのが、今でも悔しくてならない。
高校入学のために島を出た子は、ほとんど戻ってこない」
と言ってたのを裏返しのように思い出した。

聞けば、島では積極的に島留学を募ってる、ということ、
宿泊はどうしてるのか、と聞くと、島根県には、
元々高校に寮が併設されてるところが多く、
島前高校も立地的な条件もあり、元々寮が併設されてたこと、
10年前と今では、全然高校のあり方が変わってきてることなど、
高校についての話をいろいろ聞かせて頂いた。
昔は地域振興のために話し合ったとき、
「エクザイルを呼んでフェスをやる」とかいう案も出てた、
なんて話も、笑い話として聞けた。
そんな一時的な花火ではなくて、
ちゃんと実のなる方向を選んでいる海士町の判断は
素晴らしいなあ、と思った。

荒唐無稽な案を無理矢理推し進めるのではなく、
ちゃんと島にある財産を利用して、
財産を拡大する方法を選んでいる。
元々ある寮や、それに伴う、もろもろを拡大して利用する。
高校生の留学も、他の地域でも導入はしているが、
海を挟んでの留学、という方が、覚悟など、
いろんな点で有利なのかもしれない。
離島、という一見弱点にも見える点まで、利用して利点に変えてしまう。
だから、無理なく、根付いてきてるのだろう。
もともとの財産である古い建物を容赦なくぶち壊して、
数年もすれば、新鮮味のなくなるテナントビルを建てる都会の再開発より
よほど、理にかなってて、魅力的だなあ、と思った。

そう思ってたら、港の売店に格好の本があるのを見つけた。
島留学をした本土出身の高校生が3年間の島生活をまとめたものだ。


読んでみると、高校生の視点からの島の暮らし、
生徒に対しての方針などが素直な言葉で伝わってくる。
ところどころに、先生や町長さん、島の人など、
生徒を見守る側からの意見も入ってて、
読みやすい構成で、島の現在が見えてくる。
ええ本や。

めっちゃザクッと言ってしまうと、
島前高校は、もちろん勉強のカリキュラムを怠ることもないが、
それだけではなく、隠岐の抱える問題を生徒たちに見つけさせ、
それを解決するために自分が何をできるか、を
考えることも教育の一環として取り入れてる。
それは自分の将来をも見据えることに繋がるし、
隠岐の問題は、日本全体の問題とも繋がっている。
社会と繋がっている自分、という視点を持ちながら勉強する、
それは将来大きな財産になるだろう。
受験だけを目的に、他のことに目を向けず、受験技術を磨く子とは、
人間としての力で大きな差が出ると思う。
島前高校の生徒たちは偏差値で行ける大学を探すようなことはしないだろう。
自分の将来を見据え、それに必要な知識や経験を提供してくれる
教育機関を探して、次のステップに進んで行く
子どもに成長していくのだろう。
それだけのことを通常の授業だけでこなすのは、無理があるのだろう。
公立の学習センターを作って、
高校と連携を取りながら、高校生を育てているらしい。
地元から島前高校に行く生徒たち、特に海士町のある中ノ島ではなく、
西ノ島などから通う子どもたちが、どうするのか、少し気にはなったが。

こう学習のことばかり書くと受験勉強だけではないにしろ、
子どもは勉強漬けのように見えてしまうが、
そこがこの本のいいところで、生徒側からの視点を中心に書いてるので、
この本の作者「スギナちゃん」が、毎日を楽しみながら、
隠岐の文化などにも触れながら、高校時代を過ごしたことが伝わってくる。

そして、その生徒を見つめる大人たちの文章を読むと、
大人たちの方も、生徒たちに刺激を受けて、
活性化していることがわかるのもおもしろい。
特に先生や学習センターのスタッフが生徒たちを指導するのに、
情熱を傾けて、それが自分の生きがいになって、
自分を元気づけていることがよくわかる。

もちろん、この高校教育だけが、海士町の事業のすべてではないだろうが、
子どもを島ぐるみで育てて行こう、とする姿勢が、
他の事業とも、結びつけていて、全体的な成功に繋がっているのだと思う。
そして、西ノ島町、海士町、知夫村の島前三自治体、唯一の高校である
島前高校の活性化は、海士町だけでなく、西ノ島町、知夫村をも、
巻き込む力を持っているのではないか、と思った。
島前高校では、寮の増築を行ってるらしい。
この流れが途切れることなく、
海士町を含め、隠岐島が、良さを活かしつつ、
さらに発展していくさまを見守っていきたい。

きっと、なかむら旅館の賑わいも、海士町全体の盛り上がりから、
いい風を受けて、そしてその全体の盛り上がりにいい風を
送り返してるんだろうな。
ワシが海士町に移住を考えたとして、ああいうええ音楽に
直接触れる場所があるのとないのでは、
移住に対する意欲が雲泥の差になってしまうと思う。
そして、ワシが中学生やったら、迷わず島前高校に入学してたやろなあ。

まだまだ海士町の秘密には届いてないと思うが、
第一回目のレポートとして、書き置いておこう。
そして、早くも第二回目の取材に出かけたくて、うずうずしている。

きっと、なかむら旅館の賑わいも、海士町全体の盛り上がりから、
いい風を受けて、そしてその全体の盛り上がりにいい風を
送り返してるんだろうな。
ワシが海士町に移住を考えたとして、ああいうええ音楽に
直接触れる場所があるのとないのでは、
移住に対する意欲が雲泥の差になってしまうと思う。
そして、ワシが中学生やったら、迷わず島前高校に入学してたやろなあ。

まだまだ海士町の秘密には届いてないと思うが、
第一回目のレポートとして、書き置いておこう。
そして、早くも第二回目の取材に出かけたくて、うずうずしている。

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