鈴木常吉@フラットフラミンゴ。

5月30日火曜日、
フラットフラミンゴの鈴木常吉さんライブに行ってきた。
気分的には、まだ橋の下ロスが続いていたので、ガツン!と
気持ちを入れ替えてもらえた。

フラミンゴは緑のドレープ状のカーテンがツインピークスっぽい
大人のライブスペース。
そこで少し髯の伸びた鈴木さんが、あの大声で歌うものだから、
声の度にカーテンが揺れるような気がした。
久しぶりの鈴木さんのライブは、
よりシンプルに、より深くなって行ってる感じ。
無駄なものがさらに削り取られ、果ての見えない奥底を覗きこむような。
曲によっては、ある意味、恐ろしいくらいの孤独に
一人で対峙してるかのような、研ぎ澄まされた音楽だと感じた。

昔はライブではあまり披露しなかった
「肉屋(鈴木巡回精肉店)」を近頃は、よくライブでやってくれる。
この曲は、つれれこ社中を初めて聴いたときに好きになった曲なので、
生で聴けるのが嬉しい。
「細切れ」や「合挽」などの肉屋用語(?)の駄洒落に乗せて、
大店(おおだな)の道楽息子が転落していくさまが、
可笑しくも悲しい。

今年、春に鳥取に行って風景を確かめて来て、
この晩、生で聴いて確信したのだが、
「水の中の女」はワシにとっては、鳥取の大山の麓、
植田正治写真美術館のあたりのバス停を思わせる。
大山が伯耆富士と言われる理由が一番よくわかる角度、
頂上まで遮るもののない風景の中、
誰も待つ人のいないバス停の、あの風景。
あそこで一度鈴木常吉さんを聴いてみたいものだ。

この晩、一番ズシーンと来たのは「注射器」だった。
大声で、やさぐれた感じで歌い、ギターの弦を千切れるのではないか、
と思うくらいに激しくはじく。
その見ようによっては乱暴な風景は、
反面では、抑えきれない哀しみを、歌に込めて、
どこかに叩きつけようとするかのようだった。

そして、ラストにはサプライズもあった。
観客で来ていた良元優作さんがステージに上げられたのだ。
大好きなこの二人、ワシが今現在好んで聴く音楽は、
この二人から広がったものが多い。
その二人の共演を見るのは、何年ぶりだろうか。
声の質の違う二人だが、なぜかこの二人の共演は、
しっくりくるものがある。
「鉛の兵隊」と「石」の二曲だったが、
いつまでも聴いていたくなる演奏だった。

アンコールは、これもなかなかライブでは聴けない
「煙草のめのめ」
白秋~晋平のゴールデンコンビなのに、
虚無感の漂うこの曲も
鈴木さんの「ぜいご」で初めて聴いて、
大好きになった曲だ。

「分かってもらおう」とか「伝えよう」とかではなく、
「音楽」として自立している音楽、
誰にもおもねらない鈴木さんのライブを聴くことで、
ワシは、自分の音楽に対する姿勢を
確認しようとしてるのかもしれんなあ、
と何となく思った夜だった。

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