初秋の京都②美術館編。

昨日行ってきた京都。
お寺に続いては、美術館巡りです。
お寺編は、こちら。

狙ったわけじゃないけど、調べれば、市バス一本で、
鷹ヶ峰から千本今出川まで行けました。
少し歩いて、上七軒にある西陣織国際美術館へ。

美術館といっても、古いビルのワンフロアに入ってました。
何で観たのか忘れちゃったけど、
前々から来たいと思ってたところ。
今回、来れてよかったです。
内部は撮影禁止でしたけど、ここすごい!!
西陣織の中でも、とびきりです!

源氏物語や北斎、平山郁夫や東山魁夷なんかの名画や仏像写真を、
西陣織で再現してるんやけど、
この再現の仕方が、むちゃくちゃ現代技術!!
ルーペで見ると一針一針別の色が刺してあります。
西洋画の技法で言えば、点描なんやろうけど、
この細かさ、名画の再現性の高さで言えば、
テレビなどのRGBなんかに近いのかもしれない。
ルーペで観ないと一色に観える配色なんて、
どうやって決めるんやろ。
パソコンでRGB分解とかやってるんやろか。

遠目に見れば、だれでも知ってるような有名な絵画、
近くで見れば、それが布でできてるとわかり、絵画にはない質感がわかり、
ルーペで見れば、単にクリーム色に見えてたところが極彩色だとわかる。
三段階楽しめる美術館ですわ。

入館料、五百円で、お土産の絵葉書付きってのも、嬉しいです。
ワシが行った時は、比較的空いてたからか、
入場係やってたおっちゃんが、ずっと解説してくれました。
このおっちゃんが気さくでおもろうて、
ワシのことを「ご主人、ご主人」と呼びながら、
いかにも、この作品が好きで好きでたまらんみたいに解説してくれました。
美術品としては素晴らしいのだけど、布なので、
触り放題ってのも嬉しい。
あのおっちゃんと酒飲みながら、いろんな話、聞きたいわあ。

驚いたのは、今年春にワシが奈良国立博物館に観に行った、
聖林寺の十一面観音像の話。

この十一面観音の展覧会、奈良と東京でやってたんやけど、
展覧会に貸し出してて、聖林寺にない間、
ここの西陣織の十一面観音像を代わりに置いてはったらしいです。

ここ、展示だけでなく、受注製作販売もやってます。
百貨店とか通すと数倍の値段になってしまうので、
「できるだけ多くの人に」ということで、
直接販売されることにしたようです。
と言っても、安いもので10万くらいするのですが、
「これ制作にどれくらいかかるんですか?」と聞くと、
小さなやつでも1ヶ月くらいかかるとのこと。
それ考えたら、破格やとは思うんやけど、
それでも、ワシには高嶺の花ですわ、ゆーたら、
「ご主人!もっと稼いで、また来てください」言われました。
そ〜なったらええなあ。

買うとしたら、北斎かな。
他のも素晴らしいんやけど、
浮世絵(特に肉筆画ではなく、版画)は、二次元性が高いので、
西陣織の方が、版画にはない立体感もあって、
その違いが、おもろい気がしたんすわ。

「また絶対来てや〜〜!」いうおっちゃんに手を振りながら、美術館出て、
上七軒のバス停に向かい、再び市バスで、
今度は、さっき光悦寺から見てた東山の麓にある泉屋博古館に。
上品さでは、最上やとワシが思ってる板谷波山の展覧会が、
今度の日曜(明日)までやったんすわ。
京都の西側から東の端までの移動やったけど
これも、市バス一本で行けてもた。
計算して立てた予定やなかったけど、今回はラッキー続き。

行く途中、白川見てたら、鷺、おりました。

着くと、3時半過ぎ。閉館まで1時間半。
寄り道いろいろしちゃったからなあ。

同時開催の「中国青銅器の時代」は、ほぼ常設展なので、
今回は、板谷波山をじっくり見て、時間余ったら、青銅器、観るか。

波山の展示室は撮影禁止だったので、
写真は展示室前の作品とポスターで。

やっぱり本物は違うなあ。
「葆光彩磁」と「彩磁」の違い、写真ではよくわからなかったのだが、
実物を観ると、やはり違う。
比べて言うと、彩磁はややピカピカで鮮やか、
葆光彩磁は、なんかフィルター一枚かけたみたいな感じで、マットな質感。
あくまで「比べて言うと」やけど。
どっちもそれぞれに良かったんやけど、
ワシ個人的には、葆光彩磁の方が好きやったな。
けど、これ凄い難しい技法らしく、
波山自身も、そう長い間はやってなくて、
その真似をする人もおらんらしい。

ほんで、この波山が、凄い自分の作品に厳しい人で、
少しでも、思ってるのと違うと、その場で壊してしまう人やったらしい。
だから、こんなにノーブルで上品な作品作ってるのに、
生涯、貧乏やったらしい。
陶芸という、ある意味最後は偶然性にゆだねる芸術で、
そんなんやってたら、そら大変やろうな。
ようある、出来上がったばかりの作品をその場で投げ壊す陶芸家のイメージって、
波山がモデルなんかもしれんな。

会場には、その割った磁器の破片も展示してあって、
その破片にも、手をかけた美しい模様があって、
「こんだけ手をかけて作ったものでも壊してまうんや」と実感して、
芸術家の自分への厳しさを改めて、思い知らされたのであった。

さすがにちょっと疲れたので、ワシの好きな中庭で少し休憩して、
中国青銅器は、残り20分ちょいで、駆け足で観ることにする。

行ってみると、ほぼ全部、観たことのあるものだったので、
好きなものを観て回ることに。

中には清のものもあるが、展示されてるほとんどが、夏〜戦国期のもの、
西周時代のが一番多かったかな。つまり多くが、紀元前。
2000年以上前から、あんな精巧なものを、、。
やっぱり凄いなあ。

コーナーの最後に、これらのコレクションに波山が影響を受けた話と
展示があって、
「あ、やっぱりこっちも観ておいて良かった!」と思ったのでした。

外に出ると、東山の紅葉は、洛北より進んでて、
「あ、紅葉だけやったら、こっちくれば良かったか」と、ちょっと思う。

行く手の先に夕日が沈んでいく。

来た時とは白川の橋挟んで反対側に、鷺。
さっきのと同じ個体なのか?

予定外に通りかかって、
ふと入ったとこもあるけど、 
西賀茂から鷹ヶ峰にかけて、五つ寺を巡り、
上七軒出て、ひとつ美術館に行き、
東山に移動して、もうひとつ美術館に行ってしまった。

ワシの頭の中は、もう、ごっちゃごちゃ。
流石に疲れて、大阪に帰ることに。

と言っても、
大阪帰ってから、ライブに行くんだが。
アホか、ワシ。

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