佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展@京都国立博物館。

昨日、家に帰ると、ちょっときつい話が舞い込んでて、
家にいるとそのことばかり考えそうなので、
昨日帰ったばかりだけど、
また京都に来た。
国立博物館でやってる
「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展。
絶対に来たいと思ってたので、
ちょうど良かった。

三十六歌仙絵は、平安時代以前の歌の名手、
36人を藤原公任が撰んだもの。
いくつも描かれたらしいけど、
そのうち、鎌倉初期頃に描かれて、
秋田の大名、佐竹家が所持してたのが、これ。
この絵のおもろいのは、
孤独を嘆いた歌だと、後ろ向きやったり、
恋の歌やったら、ポアンとした顔してたり、
歌の作者が、その歌を詠んだ時の表情を
描いていること。
ほんまめっちゃ表情豊かで、
人物系漫画の元祖ちゃうかな?思った。

で、これが注目されるのは、
元々絵巻物だったのに、
それが絵ごと歌ごとに、バラバラにされたから。
維新後、金策に苦労した佐竹家が、
当時、貿易でウハウハゆーてた人に売ったんやけど、
その人も第一次世界大戦後の不況で没落して、
売らなあかんようになったんやけど、
当時、絵巻全部で今の金で
40億円相当のこれを買える人、
日本にはおらず、
このままでは海外に流出してまう!ってとこで、
益田鈍翁って、三井物産の設立者で、趣味人の方が、
一枚ごと剥ぎ取って、
ばら売りすることに決めたらしい。
ほんで日本中の金持ちで、
くじ引きでどれ買うか決めたらしいんやけど、
鈍翁はん自身は、坊主のが当たって、
むくれてて、気を使った一番人気の姫さんが当たった人が
交換してくれたらしい。
買った人の中には、こないだ横浜で行った
三渓園の原三渓さんもおった。

ほんで、それぞれに持ち帰って、
それぞれが意匠凝らした表具で、
掛け軸にしたのを、今回出来る限り集めた展覧会がこれってこと。

それ知ると、写真のキャッチフレーズ
「もう、会えないと思っていた。」が、
ええキャッチやなあ、思えてくる。

展覧会は、やはり素晴らしゅうございました。
おもろかったのは、やっぱり会場でも、
坊主の前は人がまばらで、
姫さんとこは、人が集まってた。
まあ、どうしても姫さんの方がカラフルやからねー。

考えたら、まず、それぞれが歌を詠んで、
それを公任が撰んで、
それを絵と書にする人がいて
(伝えでは、書は後京極良経、絵は藤原信実)、
それが時代を経て伝来して、
分割されて、それがそれぞれ素晴らしい掛け軸になって、と、
歴史と物語を感じる文化財なんやなあ。
ええ芸術ってのは、こんな物語を生むもんなんやなあ、と思った。

久しぶりに図録を買おうかと思ったが、
オールカラーはええけど、その辺の物語すっ飛ばした観る中心のものやったんで、
諦めた。高いし。

一枚一枚の変遷とかを追いかけた資料とかあれば、欲しかったなー。

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