1イニングの貸し。
震災があったから、今言うのではない。
そのもっと前に、高校野球の一試合に、
これだけ思いを馳せた人がいた。
そして、その人の思いは震災で傷つき、へこたれそうになった人たちを
少しでも、救うことができているのではないか。
今年、高田高校は、震災以来初めて
地区予選一回戦を突破し、3回戦まで、進んだ。
「1イニングの貸し」という言葉で、そこまでの結果が出た、
とまでは、言えないし、言いたくない。
一人一人が頑張ったのだと思う。
でも、その頑張りの一辺には、その言葉があるだろう。
いつか、こういう言葉を作りたい。
青空と太陽に貸しを残して 阿久悠
初陣高田高の
夢にまで見た甲子園は
ユニホームを重くする雨と
足にからみつく泥と
白く煙るスコアボードと
そして
あと一回を残した無念と
挫(くじ)けなかった心の自負と
でも やっぱり
甲子園はそこにあったという思いと
多くのものをしみこませて終(おわ)った
高田高の諸君
きみたちは
甲子園に一イニングの貸しがある
そして
青空と太陽の貸しもある